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一級建築士環境設備伝熱結露熱貫流率計算2026年

一級建築士【環境・設備】伝熱・結露の計算を丁寧に解説|熱貫流率・熱抵抗・結露判定を図解

環境・設備シリーズ第4弾は伝熱・結露です。

①日照②採光照明③換気に続きます)

この分野は計算問題が出るのが特徴。熱貫流率・熱貫流量・結露判定は、式の意味さえ分かれば確実に得点できます。この記事では計算の手順を一歩ずつ追っていきます。電卓いらずの考え方で進めるので、安心してください。

⚠️ 数値(熱伝導率など)は代表値です。計算手順の理解を目的としています。


熱の伝わり方は3つ

まず、熱がどう伝わるかの基本から。

熱の伝わり方3種 ① 伝導 固体の中を伝わる (壁の中など) ② 対流 空気・水の流れで運ぶ (暖房の風など) ③ 放射 電磁波で直接伝わる (太陽・ストーブ)
伝わり方内容
伝導固体の中を熱が伝わる(壁・材料の内部)
対流空気や水の流れが熱を運ぶ
放射電磁波で離れた物へ直接伝わる(真空でも伝わる)

壁を通る熱は、「室内空気→壁表面(対流+放射)→壁の中(伝導)→外表面→外気(対流+放射)」とリレーします。この一連を1つの数値で表すのが、これから計算する熱貫流率です。


2つの「率」を区別する——伝導率と伝達率

計算の前に、似た2語を区別します。ここが混乱の元です。

用語記号・単位意味
熱伝導率 λW/(m·K)材料の中の熱の伝わりやすさ。材料固有の値
熱伝達率 αW/(m²·K)表面と空気の間の熱の移りやすさ(対流+放射)
  • 熱伝導率λ:大きいほど熱を通す(金属は大、断熱材は小)
  • 熱伝達率α:壁の表面と空気のやりとり

そして計算では、これらを**「抵抗」**に直して使います。抵抗は大きいほど熱が伝わりにくい=断熱性が高い、というイメージです。

抵抗求め方単位
材料の熱伝導抵抗厚さ d ÷ 熱伝導率 λm²·K/W
表面の熱伝達抵抗1 ÷ 熱伝達率 αm²·K/W

「厚い断熱材(dが大)・伝えにくい材料(λが小)ほど、抵抗 d/λ が大きい」——直感どおりです。


熱貫流率Kの計算——「抵抗を全部足して、逆数」

壁全体の熱の通しやすさが熱貫流率 K[W/(m²·K)]。求め方は3ステップです。

① 各部分の熱抵抗を求める → ② 全部足して総熱抵抗R → ③ Kは R の逆数(K=1/R)

熱は「室内表面→各層→室外表面」と直列に通るので、抵抗を単純に足し算できます(電気の直列抵抗と同じ)。

壁の熱抵抗は「直列」=全部足す 室内 室外 室内表面 0.11 コンクリート d/λ 断熱材 d/λ(大) 外装 室外表面 0.04 R=0.11+Σ(d/λ)+0.04 K=1 / R

表面熱伝達抵抗には、計算用の標準値があります(覚えておくと計算が速い)。

表面熱伝達抵抗(標準)
室内側0.11 m²·K/W
室外側0.04 m²·K/W

室外側のほうが小さい(熱が移りやすい)のは、屋外は風があって対流が活発だからです。

例題:熱貫流率を計算してみる

次の壁の熱貫流率Kを求めます。

部分数値熱抵抗 R
室内表面0.11
コンクリート厚さ0.15m、λ=1.60.15÷1.6 = 0.094
断熱材厚さ0.05m、λ=0.040.05÷0.04 = 1.25
室外表面0.04

ステップ① 各抵抗 → ② 合計:

R = 0.11 + 0.094 + 1.25 + 0.04 ≒ 1.49 m²・K/W

ステップ③ 逆数でK:

K = 1 ÷ 1.49 ≒ 0.67 W/(m²・K)

ポイントは、断熱材の抵抗1.25が全体の大半を占めること。断熱材を厚くすればRが増え、Kが小さく(断熱性が高く)なります。「Kが小さい=熱を通さない=高断熱」と覚えます。


熱貫流量Qの計算——「K × 面積 × 温度差」

熱貫流率Kが出れば、実際に壁を通って逃げる熱の量(熱貫流量Q)が計算できます。

熱貫流量 Q = K × 面積A × 室内外の温度差Δt [W]

例題の続き

先ほどの壁(K=0.67)が面積10m²、室内20℃・室外0℃(温度差20℃)のとき:

Q = 0.67 × 10 × 20 = 134 W

この壁から1時間あたり134W分の熱が逃げている、という意味です。温度差が2倍になればQも2倍Kが半分(高断熱)になればQも半分。比例関係を押さえれば、選択肢の大小判断は計算しなくても分かります。


熱橋(ヒートブリッジ)——結露の温床

壁の一部に熱を通しやすい部分があると、そこだけ熱が集中して逃げます。これが熱橋(ヒートブリッジ)

内容ポイント
熱橋になりやすい所鉄筋コンクリート造の梁・柱・スラブ端部など、断熱材が途切れる部分
何が問題かそこだけ室内側表面温度が下がり、結露・カビが生じやすい
対策外断熱にして躯体を連続的に包む/熱橋部を補強断熱する

熱橋は「断熱の弱点=局所的に冷たい点」。外断熱は熱橋を生じにくい(躯体を外側で連続して覆う)のが頻出ポイント。


熱容量と蓄熱——「重い建物は遅れて効く」

断熱(通しにくさ)とは別に、熱をためる力=熱容量も重要です。

用語内容
熱容量(容積比熱×体積)大きいほど温まりにくく冷めにくい。コンクリートなど重い材料は大きい
時間遅れ外の温度変化が室内に伝わるまでの遅れ。熱容量が大きいほど大きい
温度振幅の減衰外気の温度の振れ幅が室内では小さくなること。熱容量が大きいほど減衰が大きい

重い(熱容量大)建物は、昼の熱を夜にずらして放熱(時間遅れ)し、室温の変動を和らげる。日中外出が多い住宅では蓄熱が有利、間欠運転の部屋では不利、と使い分けで問われる。

中空層・放射の抑制

項目ポイント
中空層(空気層)の熱抵抗厚さを増やしても抵抗は頭打ち(厚いと内部で対流が起き効果が伸びない)
放射率を下げるアルミ箔・Low-E面を中空層に向けると、放射による熱移動を抑え抵抗が増す

結露——「表面温度 vs 露点温度」で判定

ここからが計算分野のもう一つの山、結露です。

露点温度とは

空気は温度が高いほど水蒸気を多く含めます。空気を冷やしていくと、ある温度で含みきれなくなって水滴になる——この温度が露点温度

物の表面温度が、その場の空気の露点温度より低くなると、表面に結露する。

表面結露の判定——表面温度を計算する

結露するかは「壁の室内側表面温度」と「室内空気の露点温度」を比べます。表面温度は、先ほどの熱抵抗から計算できます。

熱は壁を一定の流れで通るので、温度は抵抗の大きさに比例して下がっていきます。室内側表面温度θsは:

θs = θi −(室内表面抵抗 ÷ 総熱抵抗R)×(θi − θo)

例題:結露するか判定

先ほどの壁(R=1.49、室内表面抵抗0.11)、室内20℃・室外0℃の場合の室内側表面温度:

θs = 20 −(0.11 ÷ 1.49)×(20 − 0)
   = 20 − 0.0738 × 20
   = 20 − 1.48 ≒ 18.5℃

仮に室内空気の露点温度が**12℃**だったとすると:

表面温度 18.5℃ > 露点 12℃ → 結露しない ○
断熱の厚さと室内側表面温度・結露 壁を貫く温度こう配を室内(暖かい)から室外(寒い)へ示す。断熱が薄いと室内側表面温度が露点を下回り結露する。断熱が厚いと室内側表面温度が露点を上回り結露しない。 断熱を厚くすると室内側の表面温度が上がり、結露しにくい 断熱が薄い 露点 12℃ 約8℃ 室内 20℃ 室外 0℃ 表面 約8℃ < 露点12℃ → 結露 × 断熱が厚い 露点 12℃ 約18℃ 室内 20℃ 室外 0℃ 表面 約18℃ > 露点12℃ → 結露しない ○ 躯体 断熱材 室内側の表面温度 室内外の気温も露点も同じ。変わるのは室内側の表面温度だけ(薄い8℃→厚い18℃)

断熱を厚くする→室内側表面温度が上がる→露点を上回る→結露しない。これが結露対策で断熱が効く理由です。逆に断熱が薄いと表面が冷たくなり、露点を下回って結露します。


表面結露と内部結露——対策が違う

種類起こる場所主な対策
表面結露壁・窓の室内表面断熱を強化(表面温度を上げる)/換気で湿度を下げる/表面付近の空気を動かす
内部結露壁の内部防湿層を断熱材の室内側に設け、湿気の侵入を防ぐ

内部結露は施工の断熱記事でも扱いました。湿気は暖かい室内側から入るので、防湿層は室内側(暖かい側)に置くのが鉄則です。

結露対策の3本柱は——

  1. 断熱:表面・内部の温度を露点より上に保つ
  2. 防湿:壁内に湿気を入れない(内部結露対策)
  3. 換気:室内の湿度そのものを下げる

「温度を上げる(断熱)・湿気を入れない(防湿)・湿気を出す(換気)」の3方向で覚えます。


○×で総チェック

Q1. 熱伝導率λは、表面と空気の間の熱の移りやすさを表す。

×。それは熱伝達率α。熱伝導率は材料の中の伝わりやすさ。

Q2. 材料の熱伝導抵抗は、厚さ÷熱伝導率で求められる。

。厚いほど・λが小さいほど抵抗大(断熱性大)。

Q3. 熱貫流率Kは、各部分の熱抵抗を合計した総熱抵抗の逆数である。

。K=1/R。Kが小さいほど高断熱。

Q4. 室外側の表面熱伝達抵抗は、室内側より大きい。

×。室外は風で対流が活発なため小さい(約0.04<室内0.11)。

Q5. 熱貫流量は、室内外の温度差に比例する。

。Q=K×A×Δt。

Q6. 断熱材を厚くすると、壁の室内側表面温度は下がる。

×。断熱を厚くすると室内側表面温度は上がり、結露しにくくなる。

Q7. 物の表面温度が露点温度より高いと、その表面に結露が生じる。

×。表面温度が露点より低いと結露する。

Q8. 内部結露を防ぐには、防湿層を断熱材の屋外側に設けるとよい。

×。防湿層は**室内側(暖かく湿気の多い側)**に設ける。

Q9. 外断熱は、内断熱に比べて熱橋(ヒートブリッジ)が生じやすい。

×。外断熱は躯体を外側で連続的に覆うため熱橋が生じにくい

Q10. 熱容量の大きい(重い)建物ほど、外気温度変化に対する室温の時間遅れが大きく、温度振幅の減衰も大きい。

。蓄熱で変動を和らげる。

Q11. 中空層の熱抵抗は、層を厚くするほど比例して増え続ける。

×。厚いと内部で対流が起き、抵抗は頭打ちになる。放射率を下げる(Low-E)方が効く。


まとめ——伝熱・結露は「抵抗」と「温度差」で解ける

  • 熱の伝わり方は伝導・対流・放射。壁の熱はこれらのリレー
  • **熱伝導率λ(材料内)/熱伝達率α(表面と空気)**を区別。計算では「抵抗」に直す
  • 熱貫流率K=1/総熱抵抗R、R=0.11+Σ(d/λ)+0.04。Kが小さいほど高断熱
  • 熱貫流量Q=K×A×Δt(温度差に比例)
  • **熱橋(ヒートブリッジ)**は局所的に冷えて結露しやすい→外断熱で抑える
  • 熱容量が大きい(重い)建物は時間遅れ・温度振幅の減衰が大きい(蓄熱)/中空層は厚くしても頭打ち・Low-Eで放射抑制
  • 結露判定は表面温度 vs 露点温度。断熱を厚くすると表面温度↑で結露しにくい
  • 対策3本柱:断熱(温度↑)・防湿(室内側)・換気(湿度↓)

計算問題も「抵抗を足して逆数」「温度差をかける」「表面温度と露点を比べる」の3パターン。手順さえ覚えれば、伝熱・結露は確実な得点源になります。

次回は**音(音響・遮音・吸音)**を取り上げます。


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