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一級建築士環境設備採光照明昼光率色温度2026年

一級建築士【環境・設備】採光・照明を「理由」で覚える|昼光率・採光補正係数・色温度を図解

環境・設備シリーズ第2弾は採光・照明です。

(第1弾は日照・日射。光環境の続きとして読むと理解が深まります)

採光・照明は「光の単位」「昼光(自然光)」「人工照明」の3つに分かれます。単位が紛らわしく、昼光率や採光補正係数の計算も出ますが、それぞれの量が”何を測っているか”を押さえれば整理できます

⚠️ 内容は建築環境工学・JIS Z 9110(照度基準)・建築基準法施行令第20条に基づく一般的な解説です。


光の4つの単位——「どこを測るか」で区別

まず最重要かつ最も混乱するのが、光の単位です。光がどの段階を測っているかで区別します。

光の4単位(光束・光度・照度・輝度) 光源が出す光の総量が光束(lm)、ある方向への強さが光度(cd)、面が受ける明るさが照度(lx=lm/m2)、見た目の明るさが輝度(cd/m2)。 光の4単位:光源 → 方向 → 面 → 見た目 ②方向への強さ ③机が受ける ④見た目 ①光束 lm|光の総量 ②光度 cd|方向の強さ ③照度 lx=lm/m²|面が受ける ④輝度 cd/m²|見た目
単位記号測るもの
光束lm(ルーメン)光源が出す光の総量
光度cd(カンデラ)ある方向への光の強さ
照度lx(ルクス)=lm/m²面が受ける明るさ(机の上など)
輝度cd/m²光る面の見た目の明るさ(まぶしさ・モニタの明るさ)

「光源の量=光束、方向=光度、面が受ける=照度、見た目=輝度」。照度は受ける側、輝度は見える側——この区別が頻出です。

比視感度:人の目は波長で明るさの感じ方が違い、明るい所では**555nm(黄緑)**が最も明るく感じます。


昼光(自然光)——昼光率がカギ

窓から入る自然光(昼光)の評価は昼光率で行います。

昼光率とは

昼光率(%)= 室内のある点の照度 ÷ 全天空照度 × 100

  • 全天空照度:屋外で全天空が見える水平面の、天空光のみの照度(直射日光は含まない
  • 昼光率は「屋外の明るさに対する室内の明るさの割合」
昼光率=室内照度 ÷ 全天空照度 天空光(全天空照度 Es) 室内点の照度 E 昼光率 D = E ÷ Es ×100(%)

なぜ昼光率を使うのか——「天候によらず一定」

ここが最重要ポイント。

全天空照度(屋外)が変われば、室内照度も同じ割合で変わる。だからその比=昼光率は、天候や時刻によってほとんど変わらず一定になる。

曇りでも晴れでも、室内の「相対的な明るさ」を表せるのが昼光率の強み。だから採光計画の指標に使われます。「室内照度(lx)」は天候で変動するが、「昼光率(%)」は安定、と覚えます。

直接昼光率と間接昼光率

種類内容上げるには
直接昼光率窓から直接届く光の昼光率窓を大きく・受照点の近くに(立体角投射率を上げる)
間接昼光率壁・天井で反射して届く光の昼光率室内の仕上げを明るく(反射率を上げる)

直接昼光率は「窓が受照点からどれだけ大きく天空を覆って見えるか(立体角投射率)」で決まります。窓は大きく・近いほど、また高い位置の窓ほど有利です。


採光補正係数(建築基準法施行令第20条)

建築基準法では、居室に必要な採光に有効な窓面積を計算します。実際の窓面積に採光補正係数をかけて評価します。

採光関係比率 D/H

採光関係比率 D/H(大きいほど採光に有利) H 軒先〜窓中心 D 隣地境界等までの水平距離 隣地境界線

D=窓の上部の出っぱり(軒先など)から隣地境界線等までの水平距離H=その出っぱりから窓の中心までの垂直距離。D/Hが大きい(=隣地が遠い・窓が低い位置)ほど、空がよく見えて採光に有利です。

用途地域別の計算式

採光補正係数は、D/Hに用途地域ごとの係数をかけて求めます。

用途地域採光補正係数の算定式
住居系(D/H ×6)− 1.4
工業系(D/H ×8)− 1.0
商業系・その他(D/H ×10)− 1.0
  • 数字が大きい(6→8→10)ほど、同じD/Hでも有利=商業系が最も緩い(密集地で窓を確保しにくいため)
  • 採光補正係数の上限は3.0
  • 天窓(トップライト)は係数を3倍、縁側がある場合は0.7倍として扱う

「住6・工8・商10」と数字の並びで覚えます。住居系が最も厳しい(係数が小さい)のは、良好な住環境のため採光を重視するからです。


人工照明——色温度・演色性・照度

色温度——光の色

光源の色を温度(K:ケルビン)で表したのが色温度

色温度:低い=赤っぽい/高い=青白い 約3000K 電球色(暖かい) 約5000K 昼白色 約6500K 昼光色(涼しげ)
  • 色温度が低いほど赤っぽく暖かい(電球色 約3000K)
  • 色温度が高いほど青白く涼しげ(昼光色 約6500K)

直感と逆(高温なのに青=寒色)に感じますが、炎より青白い星のほうが高温、と考えると物理的には自然です。

クルイトフ効果:低照度では低色温度(暖色)が、高照度では高色温度(寒色)が快適に感じられる。だんらんの部屋は電球色・低照度、オフィスは昼白色・高照度が好まれる理由。

演色性——色の見え方

演色性は、その光の下で物の色が自然に見えるかの性質。平均演色評価数 Raで表し、Ra100が基準光と同じ(最高)。Raが高いほど自然な色に見えます。美術館・店舗の商品照明などで重視されます。

照度基準(JIS Z 9110)

作業内容に応じた推奨照度が定められています。

場所・作業推奨照度の目安
事務室・製図室750 lx
住宅の居間(団らん)150〜300 lx 程度
玄関・廊下低め
精密作業・検査1000 lx 以上

「細かい作業ほど高照度が必要」が原則。事務室750lxは数字ごと頻出です。

照明方式

  • 全般照明:部屋全体を均一に照らす
  • 局部照明:手元など必要な場所だけ照らす
  • タスク・アンビエント照明:全体は控えめ(アンビエント)+手元を局部(タスク)で照らす→省エネに有効

グレア(まぶしさ)と均斉度——光の「質」

明るさ(量)だけでなく、まぶしさ・むらの少なさも大切です。

用語内容
グレア視野内の過度な輝度差によるまぶしさ直接グレア(光源を直接見る)と反射グレア(机・画面への映り込み)がある
減能グレア/不快グレア見えにくくする/不快に感じる、まぶしさの分類
VDT(PC作業)対策画面への映り込みを防ぐため、輝度を抑えた照明・ルーバー、窓に直交する机配置
照度の均斉度場所による照度のむらの少なさ。最小照度 ÷ 平均(または最大)照度で表し、大きいほど均一

「グレア=まぶしさ(直接/反射)」「均斉度=むらの少なさ(大きいほど良い)」。明るければ良いのではなく、むら・まぶしさを抑えるのが質の高い照明。

照度計算(光束法)

部屋全体の平均照度は、次の式(光束法)で求めます。

E = (F × N × U × M) ÷ A E:平均照度、F:ランプ1灯の光束、N:灯数、U:照明率、M:保守率、A:床面積

係数内容
照明率 U光源の光のうち作業面に届く割合。室指数が大きく・反射率が高いほど大きい
保守率 M経年の汚れ・劣化による低下を見込む係数(1未満)。清掃しやすいと高め

必要な灯数を逆算する問題が頻出。汚れる(保守率低下)・部屋が細長い(室指数小→照明率低)と、より多くの灯数が必要になる、と理解する。

光源の種類と効率

光源特徴
LED高効率(lm/W大)・長寿命。調光・調色しやすく主流
蛍光灯かつての主流。LEDより効率・寿命で劣る
白熱電球演色性は良いが効率が低く短寿命(淘汰が進む)
HID(水銀灯・ナトリウム灯等)高出力で体育館・道路に。ナトリウム灯は効率最高だが演色性が低い

「効率(lm/W)が高い=省エネ」。LEDが効率・寿命で優位。ナトリウム灯は効率最高だが演色性が低い(トンネルのオレンジ色)が定番のひっかけ。


○×で総チェック

Q1. 照度は光源が出す光の総量を表し、単位はlm(ルーメン)である。

×。それは光束。照度は面が受ける明るさ(lx=lm/m²)

Q2. 昼光率は、全天空照度が変化しても、ほぼ一定の値となる。

。室内照度も同じ割合で変わるため、その比=昼光率は天候によらず安定。

Q3. 全天空照度には、直射日光による照度も含まれる。

×。全天空照度は天空光のみで、直射日光は含まない。

Q4. 室内の壁・天井の反射率を高くすると、間接昼光率が大きくなる。

。反射光が増える。直接昼光率は窓を大きく・近くする(立体角投射率)。

Q5. 採光補正係数は、住居系より商業系のほうが小さくなる(厳しい)。

×。係数は住6・工8・商10で、商業系のほうが大きく有利(緩い)

Q6. 色温度が高い光源ほど、赤みを帯びた暖かい光色になる。

×。高い色温度ほど青白く涼しげ。低いほど赤い(電球色)。

Q7. 平均演色評価数Raは、値が大きいほど物の色が自然に見える。

。Ra100が基準光と同じで最高。

Q8. タスク・アンビエント照明は、全般照明のみの場合より省エネに有効である。

。全体を控えめにし手元だけ明るくできる。

Q9. 照度の均斉度は、値が大きいほど室内の照度のむらが大きいことを示す。

×。均斉度が大きいほど照度が均一(むらが小さい)

Q10. 照明の保守率は、ランプや器具の汚れ・劣化による照度低下を見込む1未満の係数である。

。汚れやすい・清掃しにくいほど保守率は小さく、必要灯数は増える。

Q11. 高圧ナトリウムランプは、演色性が高く美術館の展示照明に最も適する。

×。ナトリウム灯は効率は高いが演色性が低い。演色性重視の用途には不向き。


まとめ——採光・照明は「何を測るか」で整理

  • 光の単位:光束lm・光度cd・照度lx(受ける)・輝度cd/m²(見える)
  • 昼光率=室内照度÷全天空照度。天候によらず一定。全天空照度は直射を含まない
  • 直接昼光率は窓を大きく近く、間接昼光率は仕上げを明るく
  • 採光補正係数=D/H×(住6・工8・商10)−補正、上限3.0
  • 色温度:低い=赤・高い=青白。演色性Raは高いほど自然
  • 照度は作業で決まる(事務室750lx)。タスクアンビエントは省エネ
  • 光の質:グレア(まぶしさ)を抑え、均斉度(むらの少なさ・大きいほど良い)を確保
  • 照度計算(光束法)E=F·N·U·M/A:保守率M・照明率Uが小さいほど灯数増。光源はLEDが高効率・長寿命

光の量・色・見え方を「何を測っているか」で切り分ければ、紛らわしい単位も採光計算も迷いません。

次回は換気・通風(必要換気量・換気方式)を取り上げます。


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