二級建築士【製図試験】の勉強方法|一級との違いと独学・通信・資格学校の選び方
学科試験に合格したら、次は製図試験です。
「製図って難しそう」「資格学校に通わないといけないの?」
結論から言います。二級建築士の製図試験は、一級ほどハードルは高くありません。
一級製図と比べて規模が小さく、合格率も高い。通信講座でも十分戦える試験です。
ただし、「添削ゼロの完全独学」は難しい——この点は正直に伝えた上で、現実的な選択肢を整理します。
まず試験の全体像を確認する
製図試験の基本情報
【二級建築士 製図試験の基本情報】
試験時間 ── 5時間(一級は6時間30分)
出題形式 ── 指定の建物を設計し、図面を手描きで完成させる
課題発表 ── 毎年7月中旬(学科試験後)
試験日 ── 毎年9月第2〜3日曜日
合格率 ── 例年55〜65%前後
二級製図 合格率の推移
| 年度 | 製図合格率 |
|---|---|
| 令和2年 | 56.4% |
| 令和3年 | 60.3% |
| 令和4年 | 60.3% |
| 令和5年 | 56.6% |
| 令和6年 | 62.3% |
学科合格者のうち約6割が合格する試験です。
一級製図の合格率(35〜40%)と比べると、明らかに難易度は低い。
求められる図面の種類
【二級建築士 製図試験で描く図面(目安)】
・配置図(敷地と建物の位置関係)
・平面図(各階)
・立面図(1〜2面)
・断面図(1面)
・面積表・仕上げ表など
※一級は断面図・伏図・設備図など図面の種類が多く難易度が高い
一級製図との違いを整理する
二級製図を理解する上で、一級との違いを把握しておくことが重要です。
【一級 vs 二級 製図試験の比較】
二級建築士 一級建築士
────────────────────────────────────────────
試験時間 5時間 6時間30分
建物の規模 小規模(主に住宅) 大規模(公共・商業等)
構造 木造が中心 RC・鉄骨なども
図面の種類 少なめ 多い(設備図なども)
エスキスの難易度 比較的シンプル 複雑・多条件
合格率 約60% 約35〜40%
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二級は「木造2階建て住宅」が出題の中心です。
住宅の設計は建築を学んだ人間にとって最も馴染みがあり、イメージしやすい。
一級で求められるような「大規模建物の複雑な動線計画」に比べると、エスキスの難易度は格段に下がります。
3つの勉強方法を比較する
全体比較
| 独学 | 通信講座 | 資格学校 | |
|---|---|---|---|
| 費用目安 | 1〜3万円 | 8〜20万円 | 20〜35万円 |
| 添削 | ✗ なし | ○ データ・郵送 | ◎ 対面 |
| 課題の量 | △ 自分で集める | ○ 複数あり | ◎ 毎年作成 |
| 時間の自由度 | ◎ | ◎ | △ 通学必須 |
| 難易度感 | 高い | 中程度 | 取り組みやすい |
① 独学
二級製図は一級よりは独学のハードルが低い。ただし、「完全独学」は避けたい。
一級製図では「添削なしは論外」と言いましたが、二級はもう少し現実的な選択肢として成立します。
【二級製図を独学でやるなら】
市販テキスト・問題集を使って練習
↓
SNS(X など)の受験生コミュニティで図面を公開・意見交換
↓
合格者の知人に添削を依頼する
↓
独学合格者のブログや YouTube を参考にする
独学が現実的な人
✅ 実務で住宅の設計・施工を経験しており図面力がある
✅ 添削を頼める合格者の知人がいる
✅ SNSで図面を公開して意見をもらえる環境を作れる
✅ 本当に費用をかけられない事情がある
ただし、自分の図面が「合格レベルか」を客観的に判断するのは難しい。完全に一人で対策するのはリスクがあります。
② 通信講座(二級製図の本命)
二級製図においては、通信講座が最もコスパの良い選択肢です。
一級製図では「通信は次善策」と書きましたが、二級製図では通信講座で十分合格できます。
理由は2つです。
① 課題のスケールが小さいから、データ添削でも対応できる
一級の複雑な大規模建物では、対面で細かく指導しないと伝わりにくい部分があります。
でも二級の木造住宅規模なら、写真やPDFで図面を送っても、添削内容が十分伝わります。
② 合格率60%なので、対面指導でなくても戦える
一級製図の合格率35〜40%では、毎週の対面添削サイクルが重要になります。
でも二級の60%という合格率なら、通信講座の添削ペースでも十分追いつける水準です。
【二級製図 通信講座の目安費用】
大手資格学校の通信部 ── 15〜25万円
専門の通信・オンライン ── 8〜15万円程度
→ 資格学校の半額以下で、添削つきの対策ができる
通信講座が向いている人
✅ 通学する時間・環境がない
✅ 仕事が不規則でカリキュラムに合わせられない
✅ 費用を抑えたいが、添削は受けたい
✅ 地方在住で資格学校の拠点が近くにない
③ 資格学校
合格の確実性を最大化したい人向け。費用は高いが安心感がある。
【二級製図 資格学校の費用目安】
総合資格学院・日建学院など ── 20〜35万円程度
一級製図ほどではないものの、資格学校は毎週の対面添削・エスキス指導・課題演習のサイクルが揃っています。
資格学校が向いている人
✅ 通学できる環境がある
✅ 費用より合格の確実性を優先したい
✅ 強制力がないと継続できない自覚がある
✅ 一発合格にこだわりがある
二級製図試験の攻略ポイント
① まず「完成させること」が最優先
製図試験の最低条件は図面を完成させることです。
未完成は問答無用で失格。どんなに美しい図面でも、描き切れなければ意味がありません。
【二級製図の失格・大きな減点要因】
✗ 未完成(図面が描き切れていない)
✗ 重大な法令違反(採光・避難経路など)
✗ 要求室の欠落(指定された部屋がない)
✗ 構造的に成立しない計画
✗ 面積・寸法の大きなミス
勉強の初期段階では「完成度より完成」を意識してください。
② エスキスに時間をかけすぎない
エスキス(図面を描く前の平面計画)は重要ですが、時間をかけすぎると図面が完成しません。
【5時間の時間配分(目安)】
エスキス(平面計画) ── 60〜90分
図面作図 ── 3時間〜3時間30分
見直し・仕上げ ── 30分
→ エスキスで詰まっても2時間以上はかけない
二級の課題は住宅規模なので、エスキスは比較的シンプルにまとまります。練習を重ねてパターンを身につければ、60〜90分で解決できるようになります。
③ 毎年の課題テーマを把握する
課題テーマは7月中旬に発表されます。
【二級建築士 過去の課題テーマ(例)】
令和2年 ── 兼用住宅(夫婦で建築設計事務所を営む住宅)
令和3年 ── 専用住宅(地域に開かれたアトリエのある住宅)
令和4年 ── 専用住宅(趣味を楽しむ住宅)
令和5年 ── 専用住宅(夫婦の生活を楽しむ住宅)
令和6年 ── 専用住宅(子育てしやすい住宅)
木造2階建て住宅が中心ですが、テーマによって「求められる部屋の種類」が変わります。
テーマ発表後は、その建物に特化した間取りパターンを練習することが重要です。
受験戦略:ストレートか、翌年以降か
学科に合格した年に製図も受けるか、翌年以降に集中するか。
【スケジュールの比較】
ストレート受験
7月上旬 ── 学科試験
7月中旬 ── 製図課題テーマ発表
9月第2〜3週 ── 製図試験
準備期間:約2ヶ月
翌年以降受験
学科合格年9月 ── 製図試験をパス(受験しても権利保持)
翌年2〜6月 ── じっくり製図対策
翌年7月中旬 ── 課題テーマ発表
翌年9月 ── 製図試験
準備期間:半年〜1年
二級はストレートを狙いやすい
一級製図ではストレートの準備期間2〜3ヶ月は「かなりきつい」と書きました。
でも二級製図は一級ほど難易度が高くないため、2ヶ月の準備でもストレート合格を目指せる可能性があります。
【ストレートが向いている人(二級)】
✅ 住宅の設計・施工経験があり図面力がある
✅ 学科の疲れが比較的少ない
✅ 早く合格して次のステップ(一級)に進みたい
✅ 通信講座や資格学校で7月からすぐ動ける環境がある
【翌年以降が向いている人(二級)】
✅ 学科ギリギリ合格で自信がない
✅ 図面を描いた経験がほとんどない
✅ 仕事が繁忙期で2ヶ月の準備時間が確保できない
✅ 万全の準備で確実に取りたい
受験権利に注意
【二級建築士 製図試験の受験ルール】
学科試験合格 → 合格年を含む5年以内に製図合格が必要
→ 5年間で最大5回受験可能
※ 欠席した年は受験回数にカウントされない(回数を温存できる)
ただし5年という期間(時間的制限)は経過し続ける点に注意
まとめ
【二級建築士 製図試験のポイント】
一級との大きな違い
├─ 試験時間:5時間(一級より1時間30分短い)
├─ 規模:木造住宅が中心でエスキスがシンプル
└─ 合格率:約60%(一級の約35〜40%より高い)
勉強方法の選び方
├─ 独学 → リスクあり、添削ゼロは避ける
├─ 通信講座 → ◎ 二級製図は通信で十分対応できる
└─ 資格学校 → 確実性最大、費用は高め
製図攻略の鉄則
├─ 完成させることが最優先
├─ エスキスは90分以内を目標にする
└─ 課題テーマ発表後、特化した練習を積む
受験タイミング
├─ 二級はストレートを狙いやすい
└─ 図面経験が少ない・繁忙期なら翌年に回す
二級建築士の製図試験は、しっかり練習すれば独学に近い形でも合格できる試験です。
ただし「図面を描いて、見てもらう」というサイクルだけは省略しないでください。
通信講座で添削を受けながら進めることが、最もコスパの良い対策になります。
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