一級建築士【施工】防水・シーリング工事を「理由」で覚える|4工法と2面接着を図解
施工シリーズ、ここからは仕上げ工事に入ります。範囲が広いので、
- 防水・シーリング(←この記事)
- 左官・タイル・石
- 塗装・建具・ガラス・内装・断熱
の3回に分けて、それぞれしっかり掘り下げます。第1弾は、建物を雨から守る防水・シーリング工事です。
ここまでのコンクリート〜地業と同じく、「水をどう止めるか」を理解すれば、工法選びも納まりも理由から導けます。
⚠️ 内容はJASS 8(防水工事)等に基づく一般的な解説です。実務・最新版では条件により異なる場合があります。
防水の考え方——「面で止める」と「弱点を処理する」
防水とは、屋根・屋上・地下・水まわりなどで水の侵入を防ぐこと。考え方はシンプルで2つです。
① 防水層という「面」で水を止める ② 面の弱点(継ぎ目・端部・排水口・出入隅)を確実に処理する
防水層そのものより、つなぎ目や立上り、ドレン(排水口)まわりといった「弱点」から漏れるのが現実。だから防水工事は「弱点の納まり」に神経を使います。この視点で全体を見ていきましょう。
① 防水工法の4種類——「何で面をつくるか」で分かれる
防水層を何でつくるかで、工法が分かれます。比較表で性格を掴みましょう。
アスファルト防水
溶融したアスファルトでアスファルトルーフィング(防水シート)を3〜4層積層する、最も歴史が長く信頼性の高い工法。
- 層を重ねるので水密性・耐久性が高い
- 溶融釜で熱するため煙・臭気が出る(都市部・改修で敬遠されることも)
- 防水層の上を保護コンクリートや押えで保護する(押え工法)か、表面を仕上げた露出工法がある
改質アスファルトシート防水
アスファルトに合成ゴム等を混ぜて性能を高めたシートを使う。トーチ工法(シート裏面をバーナーで炙り、溶けたアスファルトで接着)が代表。
- 積層が1〜2層で済み、アスファルト防水より省力的
- 火気を使うので火災・下地損傷に注意。常温粘着工法(炙らない)もある
合成高分子系シート防水
加硫ゴム系・塩化ビニル樹脂系などのシートを1層張る。接着工法と、ビス等で留める機械的固定工法がある。
- 工期が短く軽量
- シートのつなぎ目(接合部)が弱点になりやすく、接合の確実さが命
塗膜防水
ウレタンゴム系などの液状材料を塗って、硬化させて膜(防水層)にする。
- 継ぎ目がないので、複雑な形状・狭い場所・改修に強い
- 塗る厚み(膜厚)の管理が品質を左右する(薄いと水が抜ける)
「積層で守る(アスファルト)/シートを貼る(シート)/塗って膜にする(塗膜)」と、面のつくり方で整理すれば工法名が頭に入ります。
② 防水で共通の急所——「弱点」をどう納めるか
どの工法でも、漏水は弱点部から起こります。共通の納まりを押さえましょう。
| 弱点部 | 処理の理由 |
|---|---|
| 下地(勾配) | 水がたまると劣化・漏水の原因。水勾配をとって排水する |
| 出隅・入隅 | 角は防水層が切れやすい。**面取り・成形(増張り)**で補強する |
| 立上り | 水が回り込む。十分な高さまで防水層を張り上げる |
| ドレン(排水口) | 水が集まる最重要部。専用の改修ドレン等で確実に処理 |
| 下地の乾燥 | 下地が湿っていると防水層がふくれる(特にアスファルト・塗膜) |
「防水層の出来より、弱点の納まりで決まる」——これが防水工事の本質です。
③ シーリング工事——「目地の動きを吸収する」
外壁の目地やサッシまわりのすき間を、ゴム状の材料(シーリング材)で埋めて水・空気を止めるのがシーリング工事。
ここで最重要なのが、目地が動くかどうかで施工法が変わることです。
ワーキングジョイントは2面接着、ノンワーキングは3面接着
| 目地の種類 | 動き | 施工法 | 理由 |
|---|---|---|---|
| ワーキングジョイント | 大きく動く(サッシまわり・各種目地) | 2面接着 | 底面を絶縁し、シーリングが自由に伸縮して動きに追従できるようにする |
| ノンワーキングジョイント | ほぼ動かない(打継ぎ等) | 3面接着 | 動かないので底面も接着してよい |
ワーキングジョイントで底まで接着(3面接着)すると、目地が動いたときに底の角を起点にシーリングが切れてしまう。だから底面を縁切り(絶縁)して2面接着にし、ゴムのように自由に伸び縮みさせるのです。
底面を絶縁する材料
- バックアップ材:目地が深いときに、底に詰めて深さを調整しつつ絶縁する
- ボンドブレーカー:目地が浅くバックアップ材が入らないとき、底にテープを貼って絶縁する
どちらもシーリング材と接着しないのがポイント。「2面接着のために底を切る道具」と覚えます。
シーリングの施工手順と材料
施工は 目地清掃 → マスキングテープ → プライマー塗布 → 充填 → へら押さえ → マスキング除去 の順。
- プライマー:下地とシーリングの接着を高める下塗り
- マスキングテープは、シーリングが硬化する前にはがす(硬化後だと縁がガタつく)
シーリング材の種類も使い分けが問われます。
| 種類 | 特徴・用途 |
|---|---|
| シリコーン系 | 耐候性・耐熱性に優れるが、周囲を汚染し塗装できない → ガラスまわり向き |
| 変成シリコーン系 | 上から塗装できる → 外壁の目地に広く使う |
| ポリウレタン系 | 接着性良好。紫外線にやや弱い |
「シリコーンは塗装不可(ガラス用)/変成シリコーンは塗装可(外壁用)」の対比が頻出です。
○×で総チェック
Q1. アスファルト防水は、ルーフィングを複数層積層するため水密性・信頼性が高い。
→ ○。3〜4層積層。煙・臭気が出る点に注意。
Q2. 塗膜防水は継ぎ目ができるため、複雑な形状には向かない。
→ ×。液状を塗って膜にするので継ぎ目がなく、複雑な形状に強い。
Q3. 防水の漏水は、防水層そのものより継ぎ目・立上り・ドレンなどの弱点から起こりやすい。
→ ○。だから弱点の納まりが最重要。
Q4. よく動くワーキングジョイントには、3面接着とする。
→ ×。2面接着。底を絶縁して動きに追従させる。3面接着は動かない目地。
Q5. バックアップ材・ボンドブレーカーは、シーリング材としっかり接着させる。
→ ×。接着させない(底面を絶縁し2面接着にするため)。
Q6. シーリングのマスキングテープは、シーリング材が完全に硬化してから除去する。
→ ×。硬化する前に除去する。
Q7. シリコーン系シーリング材は、その上から塗装するのに適している。
→ ×。シリコーン系は塗装できない(汚染も)。塗装するなら変成シリコーン系。
まとめ——防水・シーリングも「理由」で導ける
- 防水は①面で止める ②弱点(継ぎ目・立上り・ドレン)を納める
- 工法は面のつくり方で4種:アスファルト(積層)/改質アスファルト(炙る)/シート(貼る)/塗膜(塗る)
- 共通の急所は水勾配・出入隅・立上り・ドレン・下地の乾燥
- シーリングは動く目地=2面接着(底を絶縁)/動かない目地=3面接着
- 底の絶縁はバックアップ材(深い)・ボンドブレーカー(浅い)
- シーリング材はシリコーン=塗装不可(ガラス)/変成シリコーン=塗装可(外壁)
防水・シーリングは「水の通り道(弱点)を、いかに塞ぎ、いかに動きに追従させるか」。この視点を持てば、工法も納まりも理由から思い出せます。
次回②は左官・タイル・石工事を取り上げます。
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