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一級建築士施工左官工事タイル工事石工事モルタル2026年

一級建築士【施工】左官・タイル・石工事を「理由」で覚える|調合・張り工法・接着強度を図解

仕上げ工事シリーズの第2弾は左官・タイル・石工事です。

(第1弾は防水・シーリング、第3弾で塗装・建具・内装を扱います)

左官もタイルも、下地に材料を塗ったり張ったりする「湿式」工事。共通の敵は2つだけです。

① 下地との接着不良(はく離・浮き) ② 乾燥収縮によるひび割れ

この2つをどう防ぐかが、左官・タイルのすべての数値・手順の理由になっています。

⚠️ 内容はJASS 15(左官)・JASS 19(タイル)・公共建築工事標準仕様書等に基づく一般的な解説です。実務・最新版では条件により異なる場合があります。


左官(モルタル塗り)——「調合」と「塗り厚」が命

セメントモルタルを下地に塗る左官工事。出題の二本柱は調合塗り厚です。

調合の原則——下塗りは富調合、上塗りは貧調合

モルタルは何層かに分けて塗りますが、層ごとに**セメントと砂の比率(調合)**を変えます。

モルタルの調合:下塗りほど富調合(セメント多い) コンクリート下地 下塗り 富調合 中塗り 上塗り 貧調合 下塗り=富調合(セメント多) 強度・付着が高い→下地に付く 上塗り=貧調合(セメント少) 収縮が小さい→ひび割れにくい 原則:上の層を下の層より 富調合にしない
調合理由
下塗り富調合(セメント多い)強度・付着が高く、下地にしっかり付く
上塗り貧調合(セメント少ない/砂多い)収縮が小さく、表面がひび割れしにくい

原則は「上の層を、下の層より富調合にしない」。もし上層を富調合(収縮大)にすると、上層が強く縮んで表面がひび割れたり、下層からはがれたりするからです。「下ほど強く付け、上ほど穏やかに仕上げる」と覚えます。

塗り厚——「厚塗りしない」

項目基準(床を除く)理由
1回の塗り厚7mm以下厚いと自重でだれる・乾燥収縮でひび割れる
全塗り厚25mm以下厚すぎると下地からはく離しやすい

一度に厚く塗りたくなりますが、厚塗りは「だれ」と「ひび割れ」と「はく離」の元。薄く塗り重ねるのが鉄則です。

下地処理と吸水調整材

  • モルタルを塗る前に、下地の吸水調整材を塗る
  • 目的は、乾いた下地がモルタルの水を吸いすぎて硬化不良になる(ドライアウト)のを防ぐこと
  • 各層は塗ったあと十分に乾燥・養生させ、ひび割れを落ち着かせてから次の層へ

「下地が水を奪う→モルタルが固まれない」を防ぐのが吸水調整材。コンクリート記事の「水和に水が要る」と同じ理屈です。


タイル張り——「どこにモルタルを塗るか」で工法が分かれる

タイルを後から張る「後張り工法」。種類が多くて混乱しがちですが、張付けモルタルを下地・タイル裏のどちらに塗るかで整理すると一気にわかります。

タイル後張り工法で張付けモルタルを塗る面の違い 貼り合わせる前の断面。密着張りは張付けモルタルを下地側だけに塗りタイルは裏に塗らない。改良圧着張りは下地とタイル裏の両面に塗る。改良積上げ張りはタイル裏だけに塗り下地には塗らない。茶色(モルタル)の位置で見分ける。 張付けモルタルを塗る面の違い(貼り合わせる前) 密着張り 下地に塗る タイル裏は塗らない 改良圧着張り 両面に塗る 下地+タイル裏で接着確実 改良積上げ張り タイル裏に塗る 下地には塗らない コンクリート下地 張付けモルタル タイル 茶色(モルタル)の位置で見分ける:左だけ/両側/右だけ
工法張付けモルタルを塗る場所特徴
密着張り(ヴィブラート工法)下地に塗る振動工具でタイルを埋め込み、接着良好
改良圧着張り下地とタイル裏の両方両面塗りで接着が確実。空隙が少ない
改良積上げ張りタイル裏に塗る下から積み上げる。1日の積上げ高さに制限
モザイクタイル張り下地に塗るユニットを台でたたいて張る。効率的
マスク張りタイル裏(マスク板で)モザイクの接着のばらつきを改善
接着剤張り有機系接着剤主に内装。水を使わない

最重要——オープンタイムを守る

タイル張りの最大の急所がこれ。

張付けモルタルを塗ってから時間が経つと、表面が乾いて(ドライアウトして)接着力が落ちる。だから、乾く前(オープンタイム内)に張る。

  • 1回に塗り付ける面積を張れる範囲に限る(広げすぎると乾いてしまう)
  • モルタルに白い乾き(皮張り)が出たら、こすり取らずに塗り直す
  • 「塗ってすぐ張る」のが鉄則

「乾く前に張る」——防水のシーリングやタイル、左官に共通する接着の大原則です。

品質検査——打診と引張接着試験

タイルは落下すると重大事故になるため、接着の検査が厳格です。

検査内容
打診検査打診棒で全面を叩き、音の違いで浮きを調べる
引張接着強度試験試験機でタイルを面に直角に引っ張り、0.4 N/mm²以上で合格(施工後2週間以上経過後・100㎡に1か所以上かつ3か所以上)

0.4N/mm²」は数字ごと頻出。打診(全面・簡易)+引張(抜取り・数値)の二段構えで覚えます。

伸縮調整目地

タイル・モルタル・コンクリートは熱や乾燥での伸縮率が違うため、そのままだと温度変化で浮き・はく離が起こります。これを逃がすのが伸縮調整目地(だから一定間隔で目地を入れる)。防水の弱点処理と同じ「動きを逃がす」発想です。


石工事——「重い石をどう留めるか」

石(花こう岩・大理石など)の張り方は、留め方で3つに大別されます。

工法しくみ特徴
湿式工法石と下地のすき間にモルタルを充填して固定一体性が高いが、白華(エフロレッセンス)が出やすい・重い
乾式工法金物(ファスナー)で石を躯体に留めるモルタルを使わず、地震・温度変化に追従しやすい。高層で主流
本体打込み工法コンクリート打込み時に石を一体化プレキャストなどで
  • 湿式は白華(モルタル中の成分が表面に白く出る)に注意
  • 乾式は金物(だぼ・かすがい等)で保持し、層間変位に追従できる

「重い石を、モルタルで固める(湿式)か、金物で吊る(乾式)か」。近年は地震追従性から乾式が主流、と押さえます。


○×で総チェック

Q1. モルタル塗りでは、上塗りを下塗りより富調合とする。

×下塗りが富調合・上塗りが貧調合。上を富調合にすると収縮でひび割れ・はく離。

Q2. モルタルの1回の塗り厚は、床を除き7mm以下を標準とする。

。全塗り厚は25mm以下。厚塗りはだれ・ひび割れ・はく離の元。

Q3. 吸水調整材は、下地がモルタルの水を吸いすぎる(ドライアウト)のを防ぐために塗る。

。水が奪われると硬化不良になる。

Q4. 改良圧着張りは、下地側にのみ張付けモルタルを塗る。

×下地とタイル裏の両方に塗る(だから接着が確実)。

Q5. 張付けモルタルは、塗り置き時間が長いほど接着力が高まる。

×。時間が経つと表面が乾いて接着力が落ちる。オープンタイム内に張る。

Q6. タイルの引張接着強度試験は、0.4N/mm²以上を合格とする。

。打診検査(全面)と併せて品質を確認。

Q7. 石張りの乾式工法は、モルタルを充填して固定するため地震時の追従性が高い。

×。乾式は金物で留める工法。モルタル充填は湿式。追従性が高いのは乾式。


まとめ——左官・タイル・石も「理由」で導ける

  • 湿式工事の敵は①接着不良 ②乾燥収縮ひび割れ。すべての手順はこの対策
  • 左官の調合は下塗り富調合・上塗り貧調合(上を下より富調合にしない)
  • 塗り厚は1回7mm以下・全25mm以下(厚塗り厳禁)。吸水調整材でドライアウト防止
  • タイルはどこにモルタルを塗るかで工法を区別。オープンタイム内に張る
  • 検査は打診(全面)+引張接着0.4N/mm²(抜取り)
  • 石は湿式(モルタル・白華注意)/乾式(金物・追従性◎・主流)

左官・タイル・石は「下地としっかり接着させ、伸縮ひび割れを防ぐ」工事。この2点を軸にすれば、工法名も数値も自然に整理できます。

次回③は塗装・建具・ガラス・内装・断熱で仕上げ工事を締めくくります。


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