← 記事一覧へ
一級建築士構造鉄筋コンクリートRC造かぶり厚さ配筋文章題2026年

一級建築士【構造】鉄筋コンクリート構造の知識まとめ|かぶり厚さ・配筋・靭性のポイント

構造文章題シリーズ第2弾は鉄筋コンクリート(RC)構造です。

RC造は「数値規定(施行令)」と「構造設計の考え方(靭性・破壊形式)」の両方から出題されます。どちらも毎年のように顔を出す、文章題の主戦場です。


RC造の原理——なぜ鉄筋とコンクリートは相性がいいのか

まず大前提から。RC造は2つの材料の「弱点の補い合い」で成立しています。

材料得意苦手
コンクリート圧縮に強い・耐火性が高い引張に弱い(圧縮の約1/10)
鉄筋引張に強い熱に弱い・錆びる・座屈する

コンクリートが鉄筋を包むことで、火と錆から鉄筋を守り、鉄筋はコンクリートの苦手な引張を受け持つ。

たとえば梁を見ると、力の分担がはっきりわかります。

梁の力の分担:上は圧縮(コンクリート)・下は引張(鉄筋) 荷重 上側=圧縮 → コンクリートが負担 下側=引張 → 鉄筋(主筋)が負担 中央に荷重がかかると、梁の上が縮み(圧縮)下が伸びる(引張) =引張側に鉄筋を入れて、コンクリートの弱点を補う

さらに両者は熱膨張係数(線膨張係数)がほぼ等しいため、温度変化で一体性が壊れません。この相性の良さが出題されます。

  • コンクリートはアルカリ性なので鉄筋の錆を防ぐ
  • 中性化(空気中の二酸化炭素でアルカリ性が失われる現象)が進むと、鉄筋が錆びやすくなる
  • 水セメント比が大きい(水が多い)ほど強度は低下し、中性化も速く進む

かぶり厚さ(令第79条)——数値そのまま出る

鉄筋を覆うコンクリートの厚さ(かぶり厚さ)の最低値は、部位ごとに決まっています。

部位かぶり厚さ
耐力壁以外の壁・床2cm以上
耐力壁・柱・梁3cm以上
直接土に接する壁・柱・床・梁、布基礎の立上り4cm以上
基礎(布基礎の立上りを除く)6cm以上(捨てコンクリートを除く)

覚え方は「2・3・4・6」。重要な部材ほど、また土に近いほど厚くなります。

かぶり厚さ=鉄筋表面〜コンクリート表面(2・3・4・6) かぶり 鉄筋の「表面」から測る 2cm:耐力壁以外の壁・床 3cm:耐力壁・柱・梁 4cm:直接土に接する壁柱床梁 6cm:基礎(捨てコン除く) 重要な部材・土に近いほど厚い

ひっかけポイント:

  • 基礎の6cmは捨てコンクリート部分を含まない
  • かぶり厚さは鉄筋の表面からコンクリート表面までの距離(鉄筋の中心からではない)

かぶり厚さは何のため?——3つの役割

なぜ部材ごとに厚さが決まっているのか。かぶりには3つの役割があり、厳しい環境(土に接する・基礎)ほど厚くなります。

役割内容
防錆(耐久性)コンクリートのアルカリで鉄筋の錆を防ぐ。中性化が鉄筋まで達すると錆びる
耐火火災時に鉄筋が高温にならないよう熱から守る
付着鉄筋とコンクリートの付着(くっつき)を確保する

「土に接する=水分・中性化のリスク大→厚く」「基礎=最も過酷→最厚」と、役割から数値の大小が説明できます。


柱の規定(令第77条)——数字のオンパレード

項目規定
主筋の本数4本以上
主筋断面積の和コンクリート断面積の 0.8%以上
帯筋の径6mm以上
帯筋の間隔15cm以下(柱の上下端付近=小径の2倍の範囲では10cm以下
帯筋比0.2%以上
柱の小径構造耐力上主要な支点間距離の 1/15以上

なぜ柱の上下端だけ帯筋を密にするのか?——地震時に柱の上下端には大きなせん断力・曲げが集中し、ここから壊れやすいからです。「数値+理由」のセットで覚えましょう。

帯筋の役割

帯筋(フープ)は単なる主筋の固定材ではありません。

  • せん断補強(斜めひび割れを抑える)
  • 主筋の座屈防止
  • コンクリートを拘束して粘り(靭性)を高める
柱の配筋(断面)と帯筋の役割 主筋4本以上+帯筋(フープ) 帯筋(フープ)の3役 ① せん断補強(斜めひび割れ抑制) ② 主筋の座屈防止 ③ コンクリートを拘束し靭性向上 → 端部で密に巻く(10cm以下)ほど粘る

軸力と靭性——柱は「圧縮を背負いすぎる」と粘れない

柱はもう一つ、**軸力(上からの圧縮力)**との関係も問われます。

柱に作用する軸力比(軸力÷断面の耐力)が大きいほど、靭性(粘り)は低下し、脆性的に壊れやすくなる。

圧縮で目一杯になっている柱は、地震で曲げが加わると圧縮側が一気に潰れてしまうため。だから柱の軸力は抑えめにし、帯筋で拘束して粘りを確保するのが設計の基本です。「帯筋で拘束+軸力を抑える=靭性確保」とつなげて覚えます。


梁の規定(令第78条)

  • 梁は複筋梁とする(圧縮側にも鉄筋を入れる)
  • あばら筋(スターラップ)の間隔は、梁せいの 3/4以下(臥梁を除く)

複筋梁にする理由:地震時には曲げの向きが反転して圧縮側と引張側が入れ替わるから。さらに圧縮鉄筋にはクリープによるたわみを抑える効果もあります。

耐力壁は厚さ12cm以上(令第78条の2)もセットで覚えておきましょう。


鉄筋の継手・定着(令第73条)

項目規定
鉄筋の末端かぎ状に折り曲げて定着(異形鉄筋では一部省略可。ただし柱・梁の出隅部分、煙突は異形鉄筋でもかぎ状が必須
重ね継手の位置と長さ引張力の最も小さい部分:径の25倍以上/それ以外の部分:径の40倍以上(かぎ部分の長さは含まない)
梁の引張鉄筋の定着柱への定着長さは径の 40倍以上

出隅と煙突は異形でもフック」は語呂で覚えてしまいましょう。出隅部分はかぶりが2方向で薄く、定着が効きにくいからです。

付着——「鉄筋が抜けない」から一体で働く

RC造が成立する大前提が、鉄筋とコンクリートの付着(くっついて滑らないこと)。付着が切れると鉄筋だけ抜けてしまい、引張を負担できません。

  • 異形鉄筋は表面のリブ・節で付着が大きい(丸鋼より有利)。だから丸鋼はフックが必要
  • 同じ径なら、細い鉄筋を多数配したほうが、太い鉄筋を少数配すよりも表面積が増えて付着に有利
  • コンクリート強度が高いほど付着も強くなる(だから継手・定着長さを短くできる)
  • 上端筋は、打込み時に下に水・空気が溜まりやすく付着が落ちやすい(上端筋の定着・継手長さを割増す考え方につながる)

「付着=RCの命綱」。継手・定着の長さの規定も、すべて付着で抜けを防ぐためのものです。


RCの構造形式——ラーメン・壁式・フラットスラブ

RC造といっても、力の伝え方でいくつかの形式があります。違いが出題されます。

形式しくみ特徴
ラーメン構造柱と梁を剛接合した骨組で抵抗開放的な空間がとれる。一般的
壁式構造柱・梁ではなく耐力壁と床で抵抗低層(一般に5階以下)の集合住宅等。壁が多く間取りの自由度は低いが剛性が高い
フラットスラブ構造梁をなくし、床スラブを柱で直接支える階高を抑えられる。柱頭の**パンチングシア(押抜きせん断)**に注意

「壁式は低層向き・壁で支える」「フラットスラブは梁なし・パンチングシア注意」がポイント。壁式は柱梁のラーメンと根本的に抵抗のしかたが違う、と押さえます。


耐震壁——地震に効く「壁」

耐震壁(耐力壁)は、地震の水平力に対して非常に有効な要素です。

  • 耐震壁は剛性が高く、地震力を多く負担する(その分、まわりの柱梁の負担を減らす)
  • バランスよく配置することが重要。偏って配置すると、建物がねじれて偏心側から壊れる(木構造の壁配置と同じ考え方)
  • 上下階で連続させる。途中の階で耐震壁が抜ける(ピロティ)と、そこに変形・損傷が集中する
  • 開口(窓など)を設けると剛性・耐力が低下する。開口の大きさに応じて評価する

「ピロティ(1階だけ壁がない)は地震に弱い」は、阪神大震災の被害でも知られる頻出論点です。


ひび割れとその対策

RCのひび割れは避けられませんが、原因と対策が問われます。

原因対策
乾燥収縮単位水量を減らす(水が多いほど収縮大)。ひび割れ誘発目地であらかじめ位置を誘導する
温度変化・水和熱低発熱セメント(マスコン)。コンクリート工事参照
中性化による鉄筋腐食かぶりを確保し、水セメント比を小さく
不同沈下・過大な荷重基礎・構造計画で対応

ひび割れ誘発目地は「どうせひび割れるなら、目立たない決めた位置に出させる」という発想。コンクリートの乾燥収縮を逃がす、シーリングの2面接着と同じ「弱点をコントロールする」考え方です。


構造設計の考え方——「曲げ破壊が先、せん断破壊はNG」

数値規定と並ぶもう一つの出題の柱が、破壊形式の知識です。

破壊形式性質評価
曲げ破壊じわじわ変形しながら耐える(靭性的望ましい
せん断破壊斜めひび割れで突然壊れる(脆性的)避けるべき

設計の大原則はこれです。

せん断破壊よりも曲げ破壊が先行するように設計する(せん断余裕度を持たせる)

地震のエネルギーは「壊れずに変形する能力(靭性)」で吸収します。粘らずに突然折れるせん断破壊では、エネルギーを吸収する前に建物が倒れてしまうのです。

短柱のせん断破壊——腰壁・垂れ壁に注意

試験頻出の応用パターンがこれ。

柱に腰壁や垂れ壁が取り付くと、柱の自由な部分(内法高さ)が短くなり「短柱」になります

短い柱は剛性が高いため地震力を集めやすく、しかもせん断破壊しやすい。実際の地震被害でも多発したパターンです。

腰壁・垂れ壁が柱を「短柱」にする 通常の柱 長く粘る(曲げ) 腰壁・垂れ壁つき 垂れ壁 腰壁 自由長さが短い=短柱

対策として、**腰壁・垂れ壁と柱の間に耐震スリット(構造的な縁切り)**を設ける方法があります。「スリットを設ける=柱を短柱化させない工夫」という出題がされます。

なぜ短柱がせん断破壊しやすいのか。短い柱は変形しにくく(剛性が高く)、同じ地震変形でも大きな力(せん断力)が集中します。しかも短いと曲げで粘る前にせん断で先に壊れてしまう。「短い=硬い=力が集まる=脆く割れる」と理由でつながります。


コンクリートの材料・施工(令第72〜76条)

項目規定・知識
4週(28日)圧縮強度12N/mm²以上(軽量骨材使用時は9N/mm²以上)
養生打込み中・打込み後5日間はコンクリート温度が2℃を下らないよう養生(早強セメント等は3日間)
骨材鉄筋相互間・鉄筋とせき板の間を容易に通る大きさであること

知識として問われる材料の性質

  • コンクリートのヤング係数は、強度が高いほど・気乾単位体積重量が大きいほど大きい
  • クリープ:持続荷重で変形が時間とともに進む現象。圧縮強度が高いほど・載荷時の材齢が進んでいるほど小さい
  • コンクリートの引張強度は圧縮強度の約1/10

○×で総チェック

Q1. 耐力壁のかぶり厚さは2cm以上とする。

×。耐力壁は3cm以上。2cmは「耐力壁以外の壁・床」。

Q2. 柱の帯筋の間隔は、柱の上下端付近では密にする。

。原則15cm以下、上下端付近(小径の2倍の範囲)は10cm以下。せん断力が集中するため。

Q3. 柱の主筋は3本以上とする。

×4本以上

Q4. 鉄筋の重ね継手は、引張力の最も小さい部分に設ける場合、径の25倍以上とする。

。それ以外の部分では40倍以上。

Q5. 異形鉄筋を用いる場合、柱の出隅部分でも末端のかぎ状の折り曲げを省略できる。

×出隅部分・煙突は異形鉄筋でもかぎ状が必須

Q6. RC造の柱は、曲げ破壊よりもせん断破壊が先行するように設計する。

×。脆性的なせん断破壊を避け、靭性的な曲げ破壊が先行するようにする。

Q7. 柱に腰壁が取り付くと柱の内法高さが短くなり、せん断破壊が生じやすくなる。

。短柱化の問題。耐震スリットで縁を切る対策がある。

Q8. 水セメント比が大きいほど、コンクリートの中性化は遅くなる。

×。水セメント比が大きい(水が多い)ほど組織が粗くなり、中性化は速く進む。

Q9. 柱は、軸力比が大きいほど靭性(粘り)が高くなる。

×。軸力比が大きいほど圧縮側が早く潰れ、靭性は低下する。

Q10. 同じ鉄筋量なら、太い鉄筋を少数配するほうが付着上有利である。

×細い鉄筋を多数配したほうが表面積が増え、付着に有利。

Q11. 壁式構造は、超高層建築に適した構造形式である。

×。壁式は一般に**低層(5階以下程度)**向き。超高層はラーメン等。

Q12. 1階だけ耐震壁のないピロティ形式は、地震時に1階に変形・損傷が集中しやすい。

。耐震壁は上下階で連続させるのが原則。

Q13. ひび割れ誘発目地は、ひび割れの発生位置をあらかじめ誘導するために設ける。

。乾燥収縮ひび割れを目立たない位置に集める。


まとめ

  • かぶり厚さは「2・3・4・6」(非耐力壁床/耐力壁柱梁/土に接する/基礎)
  • 柱:主筋4本・0.8%、帯筋6mm・15cm(端部10cm)・0.2%、小径は1/15
  • 梁は複筋梁、あばら筋は梁せいの3/4以下
  • 継手は25d/40d出隅・煙突は異形でもフック必須。RCの命綱は付着
  • 構造形式:壁式(低層)・ラーメン・フラットスラブ(パンチングシア)
  • 耐震壁はバランス配置・上下連続(ピロティは危険)
  • 設計思想は「せん断破壊させない・曲げで粘らせる」。軸力比が大きいと靭性低下
  • 腰壁垂れ壁→短柱→せん断破壊の流れと耐震スリット
  • ひび割れは乾燥収縮が主因。誘発目地で位置をコントロール

数値は条文(令72〜79条)の根拠つき、考え方は「地震エネルギーを靭性で吸収する」という一本の軸で整理できます。


構造の関連記事:

📚 構造の全範囲を体系的に学ぶなら一級建築士【構造】完全ガイド