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一級建築士構造荷重外力地震力積載荷重文章題2026年

一級建築士【構造】荷重・外力を整理|積載荷重の大小関係・地震力・風圧力・積雪荷重

構造の試験は計算問題だけではありません。30問中の大半は**文章題(知識問題)**です。

今回からは文章題対策として、頻出テーマを順に整理していきます。第1弾は、ほぼ毎年出題される荷重・外力(建築基準法施行令第83条〜第88条)。

数値の暗記が多く見える分野ですが、「なぜそうなっているか」とセットで覚えれば一気に得点源になります。


荷重・外力の全体像

建築物に作用する荷重・外力は、施行令で次のように定められています(令第83条)。

荷重種類根拠条文
固定荷重(G)長期令第84条
積載荷重(P)長期令第85条
積雪荷重(S)短期(多雪区域では長期も)令第86条
風圧力(W)短期令第87条
地震力(K)短期令第88条

このほか、必要に応じて土圧・水圧・震動・衝撃も考慮します。


固定荷重(令第84条)

建築物自体の重さです。屋根・床・壁などの部分ごとに、実況に応じて計算します。令第84条の表に記載された数値を用いることもできます。

文章題でのポイントはひとつ。

固定荷重は「実況に応じて計算する」のが原則。表の数値はそれに代えられるもの。


積載荷重(令第85条)——大小関係が最頻出

人・家具・物品など、建物に載るものの重さです。ここが荷重分野の最頻出ポイント

同じ室でも「用途」によって3つの値がある

積載荷重は、何の計算に使うかによって3種類の値が定められています。

同じ室の積載荷重でも、用途で値が違う(必ずこの大小関係) ① 床の計算用 局部的に人や物が集中する可能性まで考える → 一番大きい ② 大梁・柱・基礎の計算用 広い範囲の平均で考えれば 集中の影響はならされる ③ 地震力の計算用 建物全体の平均的な重さでよい → 一番小さい 床用 > 大梁・柱・基礎用 > 地震力用

理由はシンプルです。対象範囲が広くなるほど、荷重の偏りは平均化されるから。床の1点には人が集まることがあっても、建物全体で見れば平均的な重さに落ち着きます。

室の種類による大小も狙われる

室の種類床用(N/㎡)覚え方
住宅の居室1,800人も物も少なめ
教室2,300人が多い
事務室2,900机・書類・OA機器
百貨店・店舗の売場2,900人+商品
劇場・映画館等(固定席)2,900固定席なら人数は限られる
自動車車庫・自動車通路5,400車は重い(最大)

ひっかけの定番はこのあたり:

  • 「住宅の居室<事務室」——逆だと思わせる選択肢が出ます(事務室の方が大きい)
  • 劇場等の「固定席」と「その他(立見など)」では、その他の方が大きい(人が詰め込めるから)
  • 倉庫業の倉庫の床は3,900N/㎡未満でも3,900以上として計算

柱・基礎の支える床の数による低減

多層建築の柱・基礎では、支える床の数に応じて積載荷重を低減できます

ただし——劇場・映画館・公会堂・集会場等の客席・集会室(令第85条の表の(五))には適用できません。満員公演のように、全フロアの客席に人が同時に集中する事態が現実に起こり得るからです。これも頻出。

※百貨店・店舗の売場(表の(四))は低減できる点に注意。「客席はダメ・売場はOK」で区別しましょう。


積雪荷重(令第86条)

積雪荷重 = 積雪の単位荷重 × 垂直積雪量 × 屋根形状係数
項目内容
単位荷重積雪量1cmごとに20N/㎡以上(一般区域)
多雪区域特定行政庁が別に定める
屋根勾配の影響勾配が緩いほど雪が積もる。60度を超えるとゼロにできる
雪下ろしの慣習雪下ろしを行う慣習のある地方では、垂直積雪量を1mまで減らして計算できる

「勾配60度超でゼロ」「雪下ろし慣習で1mまで低減」の2つは、数字ごとそのまま出題されます。


風圧力(令第87条)

風圧力 = 速度圧 q × 風力係数 Cf

速度圧 q = 0.6 × E × Vo²
記号意味ポイント
E周辺状況・高さによる係数高い位置ほど大きい(上空ほど風が強い)
Vo基準風速その地方の台風記録等に基づき30〜46m/sで国交大臣が定める
Cf風力係数建物の形状による。風洞実験または告示の数値

押さえるべき知識:

  • 速度圧は基準風速Voの2乗に比例する
  • 他の建築物等で防風上有効に遮られる場合、速度圧を1/2まで低減できる
  • 風力係数は「外圧係数−内圧係数」で求められる
  • 屋根の吹上げ(負圧)も検討が必要——風は押すだけでなく持ち上げる

地震力(令第88条)——Ci = Z・Rt・Ai・Co を分解する

文章題で最も深く問われるのが地震力です。

地上部分の地震力は、地震層せん断力係数 Ci を使って求めます。

Qi(i階の層せん断力) = Ci × Wi(i階より上の全重量)

Ci = Z × Rt × Ai × Co

4つの係数を一つずつ分解しましょう。

Ci = Z × Rt × Ai × Co Z 地震地域係数 その地方の地震の 起こりやすさ 0.7〜1.0 沖縄などで小さい Rt 振動特性係数 建物の固有周期と 地盤の種別で決まる 周期が長いほど小 軟弱地盤ほど 低減されにくい Ai 高さ方向の分布 上の階ほど 大きく揺れる 最下階で1.0 上階ほど大きい Co 標準せん断力係数 許容応力度計算 0.2以上 必要保有水平耐力 1.0以上

試験で狙われる急所

① Aiは「上階ほど大きい」

地震のとき、建物はムチのように上ほど大きく揺れます。だから地震層せん断力係数Ciは上階ほど大きい。

ここで混同しやすいのが、層せん断力Qiそのものは下階ほど大きいこと。Qiは「その階より上の全重量×Ci」なので、下の階ほど背負う重量が増えるからです。

係数Ciは上ほど大、せん断力Qiは下ほど大——この区別が最大のひっかけポイント。

② Rtと地盤の関係

振動特性係数Rtは建物の固有周期Tが長いほど小さくなります(長周期の建物は地震力が低減される)。

ただし、地盤が軟弱(第三種地盤)なほど低減が効きにくい。軟らかい地盤は揺れの周期が長く、長周期の建物と共振しやすいからです。

③ Coの使い分け

  • 許容応力度計算(一次設計):Co ≧ 0.2
  • 必要保有水平耐力の計算(二次設計):Co ≧ 1.0

ちなみに地震力を1.0で計算するということは、「建物重量と同じ大きさの水平力」を想定するということです。

④ 地下部分の地震力

地下部分は地盤と一緒に動くため揺れが小さく、水平震度 k を使います。

k ≧ 0.1 × (1 − H/40) × Z (H:地下の深さm、20mを超えるときは20)

深いほど地震力は小さくなり、深さ20m以深で一定になります。


荷重の組み合わせ(令第82条)

応力度の計算では、荷重を状況ごとに組み合わせます。多雪区域だけ特殊なのがポイント。

状態一般区域多雪区域
長期(常時)G+PG+P+0.7S
短期(積雪時)G+P+SG+P+S
短期(暴風時)G+P+WG+P+W/G+P+0.35S+W
短期(地震時)G+P+KG+P+0.35S+K

多雪区域の係数「長期0.7・短期0.35」は数字ごと出題されます。

なぜ地震時に0.35Sを足すのか?——多雪区域では「雪が積もった状態で地震が来る」可能性が現実的にあるからです。一般区域ではその確率が低いので組み合わせません。

なお、地震力と風圧力は同時に組み合わせないことにも注意(最大級の台風と大地震が同時に来る確率は極めて低い)。


○×で総チェック

Q1. 同一の室では、床の計算用の積載荷重より、地震力の計算用の積載荷重の方が大きい。

×。床用>大梁・柱・基礎用>地震力用。対象が広いほど平均化されて小さくなる。

Q2. 事務室の床の計算用積載荷重は、住宅の居室のそれより大きい。

。事務室2,900N/㎡>住宅居室1,800N/㎡。

Q3. 劇場の客席の床の積載荷重は、柱の垂直荷重の計算において、支える床の数に応じて低減できる。

×。劇場等の客席・集会室(表の(五))には低減を適用できない。なお百貨店の売場(表の(四))は低減できる

Q4. 屋根の積雪荷重は、屋根勾配が60度を超える場合はゼロとすることができる。

。急勾配の屋根には雪が積もらない。

Q5. 速度圧は、基準風速Voに比例する。

×Voの2乗に比例する(q=0.6E・Vo²)。

Q6. 地震層せん断力係数Ciは、上階ほど小さくなる。

×。Aiが上階ほど大きいため、Ciは上階ほど大きい。(層せん断力Qiは下階ほど大きい)

Q7. 必要保有水平耐力を計算する場合の標準せん断力係数Coは、0.2以上とする。

×。保有水平耐力計算では1.0以上。0.2以上は許容応力度計算のとき。

Q8. 多雪区域では、地震時の応力計算において積雪荷重の0.35倍を組み合わせる。

。長期は0.7倍、地震時・暴風時は0.35倍。


まとめ

  • 積載荷重は床用>骨組用>地震用。「対象が広いほど平均化」が理由
  • 劇場等の客席・集会室は床数低減の対象外(売場は低減可)、車庫は最大級(5,400N/㎡)
  • 積雪は60度超でゼロ・雪下ろし慣習で1mまで低減
  • 風圧力はVoの2乗に比例、遮蔽で1/2まで低減
  • 地震力は Ci=Z・Rt・Ai・Co——係数Ciは上階ほど大、せん断力Qiは下階ほど大
  • Coは一次設計0.2・保有水平耐力1.0
  • 多雪区域の組み合わせは長期0.7S・短期0.35S

荷重・外力は、ひとつひとつの数値に「物理的な理由」があります。丸暗記ではなく「なぜ」とセットで覚えれば、初見のひっかけにも対応できます。

文章題シリーズは今後も鉄筋コンクリート構造・鉄骨構造などを順次公開予定です。


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