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一級建築士環境設備空調設備給排水排水トラップ2026年

一級建築士【環境・設備】空調・給排水設備を丁寧に解説|空調方式・給水方式・排水トラップ

環境・設備シリーズもいよいよ設備分野へ。範囲が広いので2回に分けます。

  • 設備①:空調・給排水衛生(←この記事)
  • 設備②:電気・照明・防災・搬送

第6弾は、建物の快適さと衛生を支える空調・給排水衛生設備です。設備は用語が多いですが、**「何のための設備か」「水や空気をどう流すか」**で整理すれば頭に入ります。

⚠️ 内容は建築設備の一般的な解説に基づきます。数値は代表値です。


空調設備——「空気の4条件」を整える

空調(空気調和)は、室内の空気を快適な状態に保つこと。整える対象は4つです。

温度・湿度・気流(風)・清浄度(きれいさ)——この4条件を制御するのが空調。

「冷暖房だけ」ではなく、湿度・気流・空気のきれいさまで含むのが「空気調和」だと押さえます。

中央式と個別式

中央式(1か所で作る)と個別式(部屋ごと) 中央(セントラル)式 熱源 大規模で効率的・管理一括 個別(パッケージ)式 部屋ごとに発停・更新が容易
方式特徴
中央式機械室の熱源で作った冷温水・空気を各室へ。大規模で効率的だが、個別制御は弱い
個別式パッケージエアコンなど部屋ごとに設置。個別の発停・更新が容易、中小規模向き

主な中央式空調方式

方式しくみ・特徴
単一ダクト(定風量CAV)一定風量で温度を変える。シンプルだが各室個別制御が苦手
単一ダクト(変風量VAV)風量を変えて各室制御+送風動力を省エネできる
ファンコイルユニット(FCU)各室に小型ユニット(冷温水)を置く。個別制御しやすい。外気処理は別途必要
二重ダクト温風・冷風を別々に送り混合。制御性は高いがエネルギー的に不利

「VAVは省エネ・FCUは個別制御」が頻出ポイントです。

熱源機器と効率

冷温水・熱をつくる機器です。効率の指標とセットで押さえます。

機器内容
ヒートポンプ少ない電力で大気・地中の熱をくみ上げる。COP(成績係数)が大きいほど高効率
吸収冷凍機熱(ガス・排熱)で冷水をつくる。電力ピークを抑えられる
遠心(ターボ)冷凍機電動・大容量。大規模建物向き
蓄熱槽夜間電力で冷温熱をためて昼に使う。電力負荷を平準化(ピークカット)
コージェネレーション発電+排熱利用で総合効率を高める

効率はCOP・APFが大きいほど省エネ。日射・人体などで増える冷房負荷を抑える計画(日射遮蔽・断熱)が設備の小型化につながる。

省エネ運転と放射空調

手法内容
外気冷房中間期に冷たい外気を取り入れて冷房代わりに
ペリメータ/インテリア窓際(ペリメータ)は外気の影響大、室内側(インテリア)は安定。ゾーン分けして制御
放射(輻射)冷暖房床・天井のパネルで放射により冷暖房。気流感が少なく快適だが結露に注意

全熱交換器

換気で捨てる排気の熱(温度)と湿度を、取り入れる外気に回収する装置。冬は暖かさ、夏は冷たさを無駄なく再利用でき、換気による熱損失を減らせます換気の記事とつながる省エネ手法)。


給水設備——「どう水を届けるか」

建物に水を供給する方式は、規模・用途で使い分けます。

高置水槽方式(受水槽→揚水→重力給水) 水道本管 受水槽 P 揚水 高置水槽 重力で各階へ 高所に水を貯めて重力で配る=給水圧が安定・断水時も水槽分使える
方式しくみ向く規模
水道直結直圧本管の圧力で直接給水小規模・低層
水道直結増圧増圧ポンプで押し上げる(受水槽なし)中規模
高置水槽方式受水槽→揚水ポンプ→高置水槽→重力で給水大規模・圧力安定
ポンプ直送方式受水槽→ポンプで直接送水(高置水槽なし)大規模

高置水槽方式は「給水圧が安定し、停電・断水時も水槽の水が使える」のが利点。一方で水槽内の**水質管理(滞留・汚染)**が課題です。

逆流防止——「汚水を飲み水に戻さない」

衛生上の最重要テーマ。飲み水の系統に汚れた水が逆流するのを防ぐしくみが問われます。

用語内容
クロスコネクション飲料水系統と、それ以外(井水・雑用水等)の系統を直接接続すること=禁止
吐水口空間給水栓の吐水口と、器具のあふれ縁との間の垂直距離。これがあると逆流しない
バキュームブレーカー配管が負圧になったとき空気を入れ、逆サイホン(吸い戻し)を防ぐ装置

「飲み水を汚さない」ための3点。とくにクロスコネクションは絶対禁止が頻出です。

受水槽

  • 内部を点検・清掃できるよう、六面点検できる space を確保(周囲・下60cm以上、上部100cm以上が目安)
  • 水槽の水が汚染されないよう、オーバーフロー管・通気・防虫網などを設ける

給湯設備とウォーターハンマー

用語内容
中央給湯/局所給湯まとめて供給/必要箇所で個別に加熱
レジオネラ属菌対策貯湯式は60℃以上で貯湯し菌の繁殖を防ぐ
ウォーターハンマー(水撃)弁の急閉で配管に衝撃・騒音。エアチャンバー等で緩和。流速を抑える
逃し弁・膨張加熱で膨張した湯の圧力を逃がす

「貯湯は60℃以上(レジオネラ)」「急閉で水撃→エアチャンバー」。給湯は温度と圧力の管理が要点。


排水・通気設備——「トラップ」が主役

排水で最重要なのが排水トラップ。排水管の途中に水をためて(封水)、下水の臭気・虫が室内へ上がってくるのを防ぐしくみです。

洗面器具からPトラップ・床配管・排水竪管までの排水経路 洗面器の排水口からPトラップで落とし、床スラブを貫通して床下の横引き管(勾配つき)を通り排水竪管へつなぐ。トラップの封水(封水深50〜100mm)が下水側からの臭気や虫を遮断する。 排水の流れ:器具 → Pトラップ → 床配管 → 排水竪管(封水で臭気を遮断) 床スラブ ① 器具(洗面器) ② Pトラップ(封水) 封水深 50〜100mm ③ 床配管(横引き管・勾配) ④ 排水竪管 通気 ↑ 下水へ ↓ 下水からの臭気・虫 封水で遮断

封水深は50〜100mm

トラップにためる水の深さ(封水深)は50〜100mm

  • **浅すぎる(50mm未満)**と、わずかな圧力変化や蒸発で水が切れて臭気が上がる(破封
  • 深すぎる(100mm超)と、流れが悪く自浄作用が低下して汚れがたまる

「浅いと破封・深いと汚れる」だから50〜100mm、と理由で覚えます。

破封(封水が切れる)の原因

原因内容
自己サイホン作用その器具自身の排水で封水が吸い出される
誘導サイホン作用他の器具の排水で配管内が負圧になり吸い出される
蒸発長期間使わず封水が乾く
毛管現象髪の毛などを伝って封水が抜ける

通気管と二重トラップ禁止

  • 通気管:排水管に空気を補い、サイホン作用による破封を防ぐ。各器具ごとに付ける各個通気が自己サイホン防止に最も有効
  • 二重トラップの禁止:1つの排水経路にトラップを直列に2個以上設けると、間の空気が逃げ場を失い排水の流れが悪くなるため禁止

「臭気を止めるのがトラップ、流れを助けるのが通気管」。役割を分けて覚えます。

排水方式と阻集器

用語内容
合流式/分流式(公共下水)汚水と雨水を同一管で流す/別々に流す。分流式は雨水を直接放流でき処理場負荷を抑える
汚水・雑排水・雨水建物内では系統を分けて計画
阻集器(グリストラップ等)油・砂など下水に流せないものを分離・捕集(厨房はグリス阻集器)
排水槽・排水ポンプ地下など自然流下できない排水を一時貯留しポンプアップ

「雨水と汚水を分けるのが分流式」「厨房の油はグリス阻集器」。トラップ(封水深50〜100mm)と合わせて排水計画の頻出。


○×で総チェック

Q1. 空気調和(空調)は、温度と湿度の2つを制御するものである。

×。温度・湿度に加え気流・清浄度を含む4条件。

Q2. 変風量(VAV)方式は、送風動力の省エネに有効である。

。負荷に応じて風量を変える。FCUは個別制御に有利。

Q3. 高置水槽方式は、停電・断水時にも水槽内の水を利用できる。

。一方で水槽の水質管理が課題。

Q4. 飲料水系統と井水系統を直接接続することを、クロスコネクションといい、衛生上推奨される。

×。クロスコネクションは禁止。逆流で飲み水が汚染される。

Q5. 排水トラップの封水深は、深いほど良いので150mm以上とする。

×50〜100mm。深すぎると自浄作用が低下する。

Q6. 各個通気方式は、自己サイホン作用による破封の防止に有効である。

。器具ごとに通気管を設ける。

Q7. 1つの排水系統にトラップを直列に2個設けると、排水がスムーズになる。

×二重トラップは禁止。流れが悪くなる。

Q8. 全熱交換器は、換気の際に排気の熱と湿気を回収して省エネに役立つ。

。換気による熱損失を減らせる。

Q9. ヒートポンプのCOP(成績係数)は、値が小さいほど高効率である。

×。COPは大きいほど高効率

Q10. 貯湯式給湯では、レジオネラ属菌の繁殖を防ぐため貯湯温度を60℃以上に保つ。

。低温の滞留は菌繁殖の原因。

Q11. 蓄熱槽は、夜間電力で蓄熱して昼間に利用し、電力負荷の平準化に役立つ。

。ピークカット・ピークシフトに有効。


まとめ——空調・給排水は「流れ」で整理

  • 空調は温度・湿度・気流・清浄度の4条件。中央式(大規模)/個別式(中小)
  • 中央式はVAV=省エネ・FCU=個別制御。全熱交換器で換気の熱を回収
  • 熱源はCOP・APFが大きいほど高効率/蓄熱槽でピークシフト/放射空調は気流感が少ない
  • 給水は直結直圧/直結増圧/高置水槽(圧力安定)/ポンプ直送
  • 逆流防止:クロスコネクション禁止・吐水口空間・バキュームブレーカー/給湯は60℃以上(レジオネラ)・水撃対策
  • 排水トラップの封水深50〜100mm(浅いと破封・深いと汚れる)/各個通気で破封防止・二重トラップ禁止/厨房はグリス阻集器

設備は「空気・水をどう作り、どう流し、どう守るか」。流れを追えば、用語も数値も自然につながります。

次回は環境・設備シリーズ最終回、電気・照明・防災・搬送設備です。


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