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宅建民法債務不履行解除不法行為使用者責任権利関係2026年

宅建【民法】債務不履行・解除・不法行為をわかりやすく解説|損害賠償と使用者責任

民法シリーズ、今回は債務不履行・解除・不法行為です。

このあたりは「契約が守られなかったとき」「他人に損害を与えたとき」という、トラブル発生後のルール。地味に見えますが、宅建では債務不履行・解除で1問、不法行為で1問と、合わせて2問分の出題範囲になり得る重要分野です。

「約束を破られた人を、法律はどう守るのか」という視点で読み進めてください。


債務不履行とは——約束が守られない2つの形

債務不履行とは、債務者が正当な理由なく債務の本旨に従った履行をしないことです。大きく2つの型があります。

内容
履行遅滞履行できるのに期限に遅れている引渡日を過ぎても物件を引き渡さない
履行不能履行が不可能になった引渡し前に建物が焼失した

履行不能かどうかは、契約や取引上の社会通念に照らして判断します。物理的に可能でも、社会通念上不能なら履行不能です。

履行遅滞はいつから始まるか——起算点3パターン

期限の定め遅滞となる時点
確定期限(4月1日に引き渡す)期限が到来した時
不確定期限(父が死んだら贈与する)期限到来後に請求を受けた時、または期限到来を知った時早い方
期限の定めなし履行の請求を受けた時

この3パターンの使い分けは定番の出題ポイントです。


損害賠償請求——債務不履行の効果①

債務不履行があったとき、債権者は損害賠償を請求できます(民法415条)。

要件のポイント

  • 債務者に帰責事由(責めに帰すべき事由)がないときは、賠償責任を負わない
  • 帰責事由が「ない」ことの主張・立証は債務者側がする
  • 賠償は金銭で行うのが原則

損害賠償額の予定

契約時に「違反したら○○円払う」とあらかじめ決めておくことができます。

  • 損害賠償額の予定をすると、債権者は損害の発生・損害額を証明せずに予定額を請求できる
  • 実際の損害が予定額より大きくても小さくても、原則として予定額
  • ただし裁判所は、額が不当に高い場合など、増減できる(公序良俗違反なら無効もあり得る)

※宅建業法では、宅建業者が自ら売主となる場合、損害賠償額の予定と違約金の合計が代金の2割までに制限されます。民法と業法のリンクで出題されます。

金銭債務の特則——言い訳無用の世界

お金を払う債務(金銭債務)には厳しい特則があります。

特則内容
不可抗力でも免責されない「災害で払えなかった」は通用しない
損害の証明が不要債権者は損害を証明せず遅延損害金を請求できる
賠償額原則法定利率(約定利率が高ければそちら)

「金銭債務は不可抗力をもって抗弁とすることができない」——この一文はそのまま出ます。


契約の解除——債務不履行の効果②

催告解除と無催告解除

2020年改正で整理されました。

要件
催告解除相当の期間を定めて催告し、期間内に履行がないとき解除できる。ただし不履行が軽微であるときは解除不可
無催告解除履行不能、明確な履行拒絶、定期行為など——催告しても意味がない場合は直ちに解除できる

解除に「債務者の帰責事由」は不要!

ここが改正の最大ポイントです。

  • 解除するのに、債務者の帰責事由は不要(解除は「契約の拘束力から債権者を解放する」制度だから)
  • 逆に、債権者(解除しようとする側)に帰責事由がある場合は、解除できない

「損害賠償には債務者の帰責事由が必要/解除には不要」——この対比を必ず押さえてください。

解除の効果

  • 各当事者は原状回復義務を負う(受け取った金銭には受領時からの利息を付す)
  • 解除しても、別途損害賠償の請求は可能
  • 第三者の保護:解除前に目的物を取得した第三者は、登記(対抗要件)を備えていれば保護される(善意・悪意は問わない)

最後の第三者保護は物権変動の重要論点です。「解除前の第三者は登記があれば勝ち」と覚えましょう。

解除権の不可分性

当事者の一方が複数いる場合、解除の意思表示は全員から、または全員に対してしなければなりません。


危険負担——どちらのせいでもなく履行できなくなったら

売買契約のあと、双方に責任なく目的物が滅失したら(例:契約後・引渡し前に隣家の火事で建物が焼失)、買主は代金を払うのでしょうか。

2020年改正後のルールはこうです。

当事者双方の責めに帰することができない事由で債務を履行できなくなったとき、債権者(買主)は反対給付(代金支払い)の履行を拒むことができる

つまり「払わなくていい」(厳密には拒絶権)。買主は契約を解除して契約関係を清算することもできます。

ただし例外があります。

  • 引渡し後に双方無責で滅失 → 買主は代金支払いを拒めない(危険は引渡しで移転する)
  • 債権者(買主)の帰責事由で履行不能 → 買主は支払いを拒めない

「危険は引渡しによって移転する」——実務感覚にも合うルールです。


不法行為——契約がなくても損害は賠償させる

ここからは契約関係にない者同士の話。故意または過失によって他人の権利・利益を侵害し、損害を与えた者は、賠償責任を負います(民法709条)。

交通事故・工事現場の事故・看板の落下——不動産業に関わる事故の多くは不法行為の世界です。

基本ルールの整理

項目内容
賠償方法金銭賠償が原則
過失相殺被害者にも過失があれば、裁判所は賠償額を減額できる(債務不履行と異なり裁量的・責任否定はできない)
履行遅滞の時期不法行為の時から遅滞(請求を待たない)→ 遅延損害金も事故時から発生
被害者死亡慰謝料請求権は相続される。近親者(父母・配偶者・子)は固有の慰謝料も請求できる

消滅時効——3年・5年・20年

起算点期間
損害および加害者を知った時から3年人の生命・身体の侵害は5年
不法行為の時から20年

「生命・身体だけ5年に延びる」が改正ポイント。債務不履行の消滅時効(知った時から5年・行使できる時から10年、生命身体は20年)との比較で出題されます。


使用者責任——従業員の不法行為は会社も責任を負う

従業員(被用者)が事業の執行について第三者に損害を与えた場合、使用者(会社)も賠償責任を負います(民法715条)。

【例】不動産会社の営業マンが、営業車で顧客宅へ向かう途中に
歩行者をはねてケガをさせた

→ 営業マン本人(709条)と会社(715条)の両方に請求できる
(両者は連帯して責任を負う)

試験ポイント

  • 「事業の執行について」は外形から判断(外形理論)。職務権限外でも、外形上職務の範囲内に見えれば該当し得る
  • 使用者が賠償した場合、被用者に求償できる——ただし信義則上相当と認められる限度まで(全額とは限らない)
  • 逆に被用者が先に賠償した場合、使用者に求償(逆求償)できるとした判例もある(近年の重要判例)
  • 使用者は、選任・監督に相当の注意をしたことを証明すれば免責される(が、実際にはほぼ認められない)

工作物責任——建物の欠陥で人にケガをさせたら

土地の工作物(建物・塀・看板など)の設置・保存に瑕疵があり、他人に損害を与えた場合の責任です(民法717条)。不動産系資格らしい頻出条文です。

責任を負う順番責任の性質
① まず占有者(借りて使っている人など)損害防止に必要な注意をしたことを証明すれば免責される(過失責任)
② 占有者が免責されたら所有者免責なし(無過失責任!)
【例】賃貸ビルの外壁タイルが落下して通行人がケガ

→ まず占有者(テナント・管理者)が責任を負う
→ 占有者が「必要な注意をしていた」と証明できれば
→ 所有者(オーナー)が無過失でも責任を負う

所有者は最後の砦として無過失責任——ここが最大のポイント。建物を所有することの重い責任を示す条文です。

なお、損害の原因について他に責任を負う者(手抜き工事をした施工業者など)がいれば、賠償した占有者・所有者はその者に求償できます


共同不法行為——複数人で損害を与えたら

数人が共同の不法行為で損害を与えたときは、各自が連帯して全額の賠償責任を負います(民法719条)。

被害者はどの加害者に対しても全額請求でき、賠償した加害者は、過失割合に応じて他の加害者に求償できます。


試験問題パターン

Q1. 期限の定めのない債務は、債務者が履行の請求を受けた時から遅滞となる。

。期限の定めなし=請求を受けた時から遅滞。

Q2. 金銭債務の債務者は、不可抗力によって支払いができなかったことを証明すれば、遅延損害金の支払いを免れる。

×。金銭債務に不可抗力の抗弁は認められない

Q3. 債務者の帰責事由がなければ、債権者は契約を解除できない。

×。改正により解除に債務者の帰責事由は不要。(損害賠償には必要)

Q4. 売買契約後、引渡し前に建物が双方の責めに帰さない事由で焼失した場合、買主は代金の支払いを拒むことができる。

。危険負担:引渡しの双方無責の滅失なら支払い拒絶可。

Q5. 人の生命・身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から3年で時効消滅する。

×。生命・身体の侵害は5年

Q6. 使用者責任が成立する場合でも、被害者は被用者本人に損害賠償を請求できる。

。使用者と被用者は連帯責任。どちらにも全額請求できる。

Q7. 土地工作物の瑕疵による損害について、占有者が免責された場合、所有者は過失がなくても責任を負う。

。所有者は無過失責任


まとめ

  • 債務不履行は履行遅滞履行不能。遅滞の起算点3パターンを正確に
  • 損害賠償には債務者の帰責事由が必要解除には不要——最重要の対比
  • 金銭債務は不可抗力でも免責なし・損害証明不要
  • 催告解除は「軽微なら不可」、履行不能なら無催告解除
  • 解除前の第三者は登記があれば保護される
  • 危険負担:双方無責なら買主は支払い拒絶可。ただし引渡しで危険は移転
  • 不法行為の時効は3年(生命身体5年)/20年、遅滞は事故時から
  • 使用者責任は外形理論・求償は信義則上相当な範囲
  • 工作物責任:占有者は過失責任 → 所有者は無過失責任

「賠償と解除で要件が違う」「契約(債務不履行)と事故(不法行為)で時効が違う」——似たもの同士の違いを意識して整理すると、ひっかけに強くなります。


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