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一級建築士構造座屈オイラー座屈有効座屈長さ細長比勉強法2026年

一級建築士【構造】座屈の公式と解き方|有効座屈長さ・細長比を図解で完全解説

一級建築士の構造問題で、座屈は毎年必ずといってよいほど出題される超頻出テーマです。

「オイラーの公式は知っているけど、有効座屈長さの選び方で迷う」「細長比の計算で符号を間違える」——そういった受験生が多い分野でもあります。

この記事では、境界条件ごとの有効座屈長さを図解で整理し、試験本番で即答できるレベルに仕上げます。


1. 座屈とは

座屈(buckling) とは、圧縮力が限界値(座屈荷重 Pcr)を超えた瞬間に、柱が急激に横方向にたわむ不安定現象です。

梁の曲げ破壊と混同しないことが重要です。

破壊モード原因特徴
曲げ破壊曲げ応力が強度を超える材料の強度依存
座屈圧縮力が Pcr を超える剛性(EI)と長さ依存

座屈は材料が降伏する前に起きることもあり、長くて細い柱ほど危険です。短くて太い柱(短柱)は材料強度で破壊しますが、長くて細い柱(長柱)は座屈で破壊します。

座屈のイメージ ── 圧縮力が Pcr を超えると横にたわむ P < Pcr(安定) P たわまない P = Pcr(座屈!) P = Pcr 最大たわみ

2. オイラーの座屈荷重

座屈荷重を求める基本公式がオイラーの座屈公式です。

Pcr = π²EI / lk²
記号意味単位
Pcr座屈荷重(臨界荷重)N, kN
π²約 9.87(定数)
Eヤング係数(弾性係数)N/mm²
I断面二次モーメントmm⁴
lk有効座屈長さ(座屈長さ)mm

この公式から読み取れる重要な関係:

Pcr ∝ EI / lk²
  • EI が大きい(剛性が高い) → 座屈しにくい
  • lk が小さい(拘束が強い) → 座屈しにくい
  • lk が2倍になると Pcr は 1/4 に激減
  • lk が 1/2 になると Pcr は 4倍になる

「lk の2乗に反比例する」——この感覚が試験問題を解くカギです。


3. 境界条件と有効座屈長さ lk(最重要)

有効座屈長さ lk は、実際の柱の長さ L に境界条件ごとの係数をかけて求めます。4パターンを丸暗記しましょう。

境界条件lk の値Pcr の大小
両端ピンL基準(1倍)
両端固定L/24倍(最も安全)
一端固定・他端自由2L1/4倍(最も危険)
一端固定・他端ピン0.7L約2倍
境界条件と有効座屈長さ lk ── 4パターン比較 両端ピン lk = L P lk = L 両端固定 lk = L/2(最強) P lk=L/2 一端固定・他端自由 lk = 2L(最弱) P lk = 2L ← 最も危険! 一端固定・他端ピン lk ≈ 0.7L P lk≈0.7L

境界条件の見分け方

  • ピン → 三角形の支持(回転自由、移動拘束)
  • 固定 → 壁に埋め込まれた支持(回転も移動も拘束)
  • 自由端 → 何もない(回転も移動も自由)

試験のコツ: 建物の柱では、基礎が固定ならば基部は「固定端」です。建物高さ方向の拘束(床・梁による)を確認して lk を決定します。


4. 細長比 λ(ラムダ)

細長比 λ は、柱の「細長さ」を無次元で表す指標です。

λ = lk / i
i = √(I / A)    ← 断面二次半径(断面二次モーメントを断面積で割った値の平方根)
記号意味
λ細長比(スレンダーネス比)
lk有効座屈長さ
i断面二次半径
I断面二次モーメント
A断面積

細長比と破壊モードの関係

λ が小さい(短くて太い柱) → 材料強度で破壊(圧縮降伏)
λ が大きい(長くて細い柱) → 座屈で破壊

一般的な目安:

細長比 λ分類主な破壊モード
λ < 50〜60短柱材料降伏
λ > 100〜120長柱弾性座屈
その中間中間柱非弾性座屈

計算例

H-200×200×8×12(H形鋼)の断面を仮定:

I = 4,720 cm⁴(強軸)、A = 63.53 cm²

i = √(4720 / 63.53) = √74.3 ≈ 8.62 cm

lk = 500 cm(両端ピン、L = 5 m)とすると

λ = 500 / 8.62 ≈ 58

この場合は中間柱に近い領域です。細長比が大きくなるほど座屈荷重は急激に低下します。


5. 座屈荷重の比較問題(試験頻出)

試験では「境界条件が変わったとき Pcr はどう変わるか」という比較問題が頻出です。

核心は lk の2乗に反比例するという関係だけです。

Pcr = π²EI / lk²

lk が 1/2 になる → lk² は 1/4 → Pcr は 4倍
lk が 2倍になる → lk² は 4倍  → Pcr は 1/4

代表的なパターン

変化lk の変化Pcr の変化
両端ピン → 両端固定L → L/2(1/2倍)4倍
両端ピン → 一端固定・他端自由L → 2L(2倍)1/4倍
両端固定 → 一端固定・他端自由L/2 → 2L(4倍)1/16倍
座屈荷重の比較 ── lk の2乗に反比例する Pcr 0 1 2 4 1倍 両端ピン lk = L 4倍 両端固定 lk = L/2 1/4倍 一端固定・他端自由 lk = 2L 約2倍 一端固定・他端ピン lk ≈ 0.7L 基準

解き方の手順(試験本番)

  1. 各ケースの境界条件から lk を読み取る
  2. Pcr ∝ 1/lk² で比を計算する
  3. 数値で答える場合は π²EI/lk² に代入する

例題: 同じ断面・同じ長さ L の柱を両端ピンから両端固定に変えた。座屈荷重は何倍になるか?

両端ピン:lk1 = L
両端固定:lk2 = L/2

Pcr2 / Pcr1 = lk1² / lk2² = L² / (L/2)² = L² / (L²/4) = 4

→ 4倍になる

6. 梁の横座屈

柱の座屈だけでなく、梁にも座屈が起きます。 これを横座屈(Lateral Torsional Buckling) といいます。

梁の横座屈 ── 面外方向へねじれながら座屈する 通常荷重時 ── 面内でたわむ 荷重 鉛直方向のみたわむ(正常) 横座屈発生 ── ねじれながら面外へ 荷重 面外変位 横方向にねじれながら変形(危険!)

横座屈の発生条件

  • スパンが長く、断面が細長い梁(幅に対して高さが大きい断面)
  • 圧縮フランジが横方向に拘束されていない場合
  • フランジ幅が小さいH形鋼や I 形鋼

試験での押さえ方

ポイント内容
名称横座屈(Lateral Torsional Buckling)
発生部位梁(特に圧縮フランジ)
防止策横補剛(lateral bracing)の設置、フランジ幅を大きくする
細長梁ほど危険スパン/フランジ幅 が大きいほど横座屈しやすい

7. 試験頻出パターン

パターン①「有効座屈長さを求めよ」

境界条件を見て lk を決める

両端ピン   → lk = L
両端固定   → lk = L/2
一端固定・他端自由 → lk = 2L
一端固定・他端ピン → lk ≈ 0.7L

パターン②「座屈荷重の比を求めよ」

Pcr ∝ 1/lk² を使う

条件が変わったとき:Pcr の比 = (lk_before)² / (lk_after)²

パターン③「細長比を求めよ」

λ = lk / i、i = √(I/A)

① lk を境界条件から求める
② i = √(I/A) を計算する
③ λ = lk / i

パターン④「どちらの柱が座屈しやすいか」

lk が大きい(または λ が大きい)ほど座屈しやすい

座屈荷重が小さい = 座屈しやすい = lk が大きい

8. まとめ

項目内容
座屈荷重の公式Pcr = π²EI / lk²
lk の決め方境界条件(両端ピン=L、両端固定=L/2、片持ち=2L、固定-ピン=0.7L)
Pcr の変化lk が半分 → Pcr は4倍、lk が2倍 → Pcr は1/4
細長比λ = lk/i、i = √(I/A)
梁の横座屈細長い梁で面外ねじれ変形、圧縮フランジの横拘束が有効

暗記の優先順位

  1. lk の4パターン(両端ピン・両端固定・片持ち・固定-ピン)
  2. Pcr は lk の2乗に反比例
  3. λ = lk/i の計算手順

この3つを押さえれば、座屈の出題パターンのほとんどに対応できます。


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