← 記事一覧へ
一級建築士法規構造構造計算荷重外力2026年

一級建築士【法規】構造強度・構造計算ルートを攻略|法20条の4区分と一次・二次設計

法規シリーズ、穴埋めの3本目は構造強度・構造計算ルートです。

構造は「力学」だけでなく、法規としての枠組みも毎年問われます。柱は「どの規模の建物に、どんな構造計算を求めるか(法20条)」と「どんな荷重を、どれだけ見込むか(令83条〜)」。数字の力学計算は構造科目で扱うので、ここでは法規としての構造を整理します。

⚠️ 内容は建築基準法・施行令等に基づく一般的な解説です。条文番号・数値は学習用の代表値で、適用条件には細かい例外があります。受験・実務では最新の法令集で確認してください。


1. 法20条の4区分——規模で求められる検証が変わる

建築物は、自重・積載荷重・積雪・風圧・土圧・水圧・地震等に対して安全な構造でなければならない(法20条)。

そのうえで、規模が大きいほど高度な検証を求める、という考え方で4区分に分かれます。

法20条 構造の4区分(大きいほど厳格) 第1号:高さ60m超(超高層) 時刻歴応答解析等 → 国土交通大臣の認定 第2号:60m以下の大規模(木13m/軒9m超・S造4階以上・RC20m超 等) ルート2・ルート3・限界耐力計算 → 構造計算適合性判定の対象 第3号:中規模(木造3階以上・延べ500㎡超 等) ルート1(許容応力度計算)以上+仕様規定 第4号:小規模(上記以外) 仕様規定(令40条〜)に適合すればよい(構造計算は必須でない)
区分規模求められること
第1号高さ60m超(超高層)時刻歴応答解析等で国土交通大臣の認定
第2号60m以下の大規模(木造13m/軒高9m超、S造4階以上、RC造20m超 等)ルート2・3・限界耐力計算等。構造計算適合性判定の対象
第3号中規模(木造3階以上、延べ500m²超 等)ルート1(許容応力度計算)以上+仕様規定
第4号上記以外の小規模仕様規定に適合すればよい(構造計算は必須でない)

60m超は大臣認定/60m以下の大規模は適合性判定」という前回(確認申請)の知識と直結します。なお2025年改正で**確認申請の区分(6条)は変わりましたが、この構造の区分(20条1〜4号)**はそのままです。


2. 一次設計と二次設計——「壊さない」と「倒さない」

構造計算の根っこにある2段階の考え方です。

一次設計(中地震)と二次設計(大地震) 一次設計 中地震(まれに発生)で 損傷しない(許容応力度内) C0 ≧ 0.2 二次設計 大地震(極めてまれ)で 倒壊・崩壊しない C0 ≧ 1.0

一次設計=中地震で「壊さない」(許容応力度以内、標準せん断力係数 C0≧0.2)。 二次設計=大地震で「倒さない」(保有水平耐力、C0≧1.0)。

「中地震では無傷、大地震では壊れてもいいから倒れない」が日本の耐震設計の基本思想。C0:一次0.2・二次1.0は最頻出の数字です(軟弱地盤の木造や鉄骨ルート1では一次でC0≧0.3とすることも)。


3. 構造計算ルート(令81条)

具体的な計算方法がルート1〜3。規模・高さに応じて選びます。

ルート計算方法内容
ルート1許容応力度計算(一次設計のみ)各部材の応力が許容応力度以内かを確認。小規模向き
ルート2許容応力度等計算一次設計+層間変形角・剛性率・偏心率等のバランス確認
ルート3保有水平耐力計算(二次設計)大地震に対し、保有水平耐力 ≧ 必要保有水平耐力を確認
(別法)限界耐力計算性能を直接検証する高度な方法。高さ60m以下で使える

ルートが上がるほど、**大地震に対する検証(二次設計)**まで踏み込む。

ルート2の「剛性率・偏心率」(硬さ・重心と剛心のずれのバランス)、ルート3の「保有水平耐力」がキーワードです。


4. 荷重・外力——何を見込むか(令83条〜)

構造計算で見込む荷重・外力は次の5つ(+土圧・水圧)。

主な荷重・外力 固定荷重 建物自体の 重さ(G) 積載荷重 人・家具等 (P) 積雪荷重 雪(S) 風圧力 風(W) 地震力 地震(K)

⚠️ 積載荷重の「大小関係」

積載荷重は、用途で決まるだけでなく、何を計算するかで大きさが変わります。

床用 ≧ 大梁・柱・基礎用 ≧ 地震力計算用

柱や基礎には多くの床の荷重が集まりますが、すべての床が同時に満載になる確率は低いので、床ごとの値より小さく見込めます。地震力用はさらに小さくできます。「床>大梁柱基礎>地震」の大小は頻出です。

地震力・積雪・風圧の要点

外力要点
地震力地震層せん断力=Ci×(その階より上の重量)。Ci=Z(地域係数)×Rt(振動特性係数)×Ai(高さ方向分布)×C0(標準せん断力係数)。上階ほど大きくなる
積雪荷重積雪単位荷重は一般地域で積雪量1cmにつき20N/m²以上(多雪区域は30N/m²以上)。屋根勾配が急(60度超)なら見込まなくてよい
風圧力速度圧×風力係数。速度圧は高さが高いほど大きい

地震力の係数では、上階ほど地震力が大きくなる(Aiが効く)軟弱地盤ほどRtで大きくなるといった性質が問われます。


○×で総チェック

Q1. 高さ60mを超える建築物は、構造計算適合性判定を受けなければならない。

×。60m超は国土交通大臣の認定(時刻歴応答解析等)。適合性判定の対象は60m以下の大規模(法20条第2号)。

Q2. ルート3(保有水平耐力計算)は、大地震に対して建築物が倒壊・崩壊しないことを確かめる二次設計である。

。保有水平耐力≧必要保有水平耐力を確認する。

Q3. 許容応力度計算で用いる標準せん断力係数C0は、1.0以上としなければならない。

×。許容応力度計算(一次設計)はC0≧0.2。1.0以上は必要保有水平耐力(二次設計)。

Q4. 積載荷重は、床の計算用・大梁柱基礎の計算用・地震力の計算用のうち、地震力用が最も大きい。

×床用 ≧ 大梁・柱・基礎用 ≧ 地震力用。地震力用が最も小さい。

Q5. 地震層せん断力は、一般に上階ほど大きくなる。

。高さ方向分布係数Aiにより、上階ほど割り増される。

Q6. 積雪荷重の単位荷重は、一般地域では積雪量1cmにつき20N/m²以上とする。

。多雪区域は30N/m²以上。屋根勾配60度超は見込まなくてよい。


まとめ——構造の法規は「規模→検証→荷重」

  • 法20条の4区分60m超=大臣認定/60m以下大規模=適合性判定(ルート2・3)/中規模=ルート1以上/小規模=仕様規定
  • 一次設計(C0≧0.2・中地震で壊さない)/二次設計(C0≧1.0・大地震で倒さない)
  • ルート1=許容応力度/2=+剛性率・偏心率/3=保有水平耐力
  • 荷重は固定・積載・積雪・風・地震。積載荷重は床≧大梁柱基礎≧地震
  • 積雪20N/m²/cm(多雪30)、地震力は上階ほど大きい

構造の法規は、力学の数式より「規模に応じた検証の枠組み」と「荷重の大小関係・代表数値」を押さえるのが得点の近道です。次は**面積・高さ・階数の算定(令2条)**を整理します。


関連記事: