一級建築士【法規】構造強度・構造計算ルートを攻略|法20条の4区分と一次・二次設計
法規シリーズ、穴埋めの3本目は構造強度・構造計算ルートです。
構造は「力学」だけでなく、法規としての枠組みも毎年問われます。柱は「どの規模の建物に、どんな構造計算を求めるか(法20条)」と「どんな荷重を、どれだけ見込むか(令83条〜)」。数字の力学計算は構造科目で扱うので、ここでは法規としての構造を整理します。
⚠️ 内容は建築基準法・施行令等に基づく一般的な解説です。条文番号・数値は学習用の代表値で、適用条件には細かい例外があります。受験・実務では最新の法令集で確認してください。
1. 法20条の4区分——規模で求められる検証が変わる
建築物は、自重・積載荷重・積雪・風圧・土圧・水圧・地震等に対して安全な構造でなければならない(法20条)。
そのうえで、規模が大きいほど高度な検証を求める、という考え方で4区分に分かれます。
| 区分 | 規模 | 求められること |
|---|---|---|
| 第1号 | 高さ60m超(超高層) | 時刻歴応答解析等で国土交通大臣の認定 |
| 第2号 | 60m以下の大規模(木造13m/軒高9m超、S造4階以上、RC造20m超 等) | ルート2・3・限界耐力計算等。構造計算適合性判定の対象 |
| 第3号 | 中規模(木造3階以上、延べ500m²超 等) | ルート1(許容応力度計算)以上+仕様規定 |
| 第4号 | 上記以外の小規模 | 仕様規定に適合すればよい(構造計算は必須でない) |
「60m超は大臣認定/60m以下の大規模は適合性判定」という前回(確認申請)の知識と直結します。なお2025年改正で**確認申請の区分(6条)は変わりましたが、この構造の区分(20条1〜4号)**はそのままです。
2. 一次設計と二次設計——「壊さない」と「倒さない」
構造計算の根っこにある2段階の考え方です。
一次設計=中地震で「壊さない」(許容応力度以内、標準せん断力係数 C0≧0.2)。 二次設計=大地震で「倒さない」(保有水平耐力、C0≧1.0)。
「中地震では無傷、大地震では壊れてもいいから倒れない」が日本の耐震設計の基本思想。C0:一次0.2・二次1.0は最頻出の数字です(軟弱地盤の木造や鉄骨ルート1では一次でC0≧0.3とすることも)。
3. 構造計算ルート(令81条)
具体的な計算方法がルート1〜3。規模・高さに応じて選びます。
| ルート | 計算方法 | 内容 |
|---|---|---|
| ルート1 | 許容応力度計算(一次設計のみ) | 各部材の応力が許容応力度以内かを確認。小規模向き |
| ルート2 | 許容応力度等計算 | 一次設計+層間変形角・剛性率・偏心率等のバランス確認 |
| ルート3 | 保有水平耐力計算(二次設計) | 大地震に対し、保有水平耐力 ≧ 必要保有水平耐力を確認 |
| (別法) | 限界耐力計算 | 性能を直接検証する高度な方法。高さ60m以下で使える |
ルートが上がるほど、**大地震に対する検証(二次設計)**まで踏み込む。
ルート2の「剛性率・偏心率」(硬さ・重心と剛心のずれのバランス)、ルート3の「保有水平耐力」がキーワードです。
4. 荷重・外力——何を見込むか(令83条〜)
構造計算で見込む荷重・外力は次の5つ(+土圧・水圧)。
⚠️ 積載荷重の「大小関係」
積載荷重は、用途で決まるだけでなく、何を計算するかで大きさが変わります。
床用 ≧ 大梁・柱・基礎用 ≧ 地震力計算用
柱や基礎には多くの床の荷重が集まりますが、すべての床が同時に満載になる確率は低いので、床ごとの値より小さく見込めます。地震力用はさらに小さくできます。「床>大梁柱基礎>地震」の大小は頻出です。
地震力・積雪・風圧の要点
| 外力 | 要点 |
|---|---|
| 地震力 | 地震層せん断力=Ci×(その階より上の重量)。Ci=Z(地域係数)×Rt(振動特性係数)×Ai(高さ方向分布)×C0(標準せん断力係数)。上階ほど大きくなる |
| 積雪荷重 | 積雪単位荷重は一般地域で積雪量1cmにつき20N/m²以上(多雪区域は30N/m²以上)。屋根勾配が急(60度超)なら見込まなくてよい |
| 風圧力 | 速度圧×風力係数。速度圧は高さが高いほど大きい |
地震力の係数では、上階ほど地震力が大きくなる(Aiが効く)、軟弱地盤ほどRtで大きくなるといった性質が問われます。
○×で総チェック
Q1. 高さ60mを超える建築物は、構造計算適合性判定を受けなければならない。
→ ×。60m超は国土交通大臣の認定(時刻歴応答解析等)。適合性判定の対象は60m以下の大規模(法20条第2号)。
Q2. ルート3(保有水平耐力計算)は、大地震に対して建築物が倒壊・崩壊しないことを確かめる二次設計である。
→ ○。保有水平耐力≧必要保有水平耐力を確認する。
Q3. 許容応力度計算で用いる標準せん断力係数C0は、1.0以上としなければならない。
→ ×。許容応力度計算(一次設計)はC0≧0.2。1.0以上は必要保有水平耐力(二次設計)。
Q4. 積載荷重は、床の計算用・大梁柱基礎の計算用・地震力の計算用のうち、地震力用が最も大きい。
→ ×。床用 ≧ 大梁・柱・基礎用 ≧ 地震力用。地震力用が最も小さい。
Q5. 地震層せん断力は、一般に上階ほど大きくなる。
→ ○。高さ方向分布係数Aiにより、上階ほど割り増される。
Q6. 積雪荷重の単位荷重は、一般地域では積雪量1cmにつき20N/m²以上とする。
→ ○。多雪区域は30N/m²以上。屋根勾配60度超は見込まなくてよい。
まとめ——構造の法規は「規模→検証→荷重」
- 法20条の4区分:60m超=大臣認定/60m以下大規模=適合性判定(ルート2・3)/中規模=ルート1以上/小規模=仕様規定
- 一次設計(C0≧0.2・中地震で壊さない)/二次設計(C0≧1.0・大地震で倒さない)
- ルート1=許容応力度/2=+剛性率・偏心率/3=保有水平耐力
- 荷重は固定・積載・積雪・風・地震。積載荷重は床≧大梁柱基礎≧地震
- 積雪20N/m²/cm(多雪30)、地震力は上階ほど大きい
構造の法規は、力学の数式より「規模に応じた検証の枠組み」と「荷重の大小関係・代表数値」を押さえるのが得点の近道です。次は**面積・高さ・階数の算定(令2条)**を整理します。
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