一級建築士【構造】トラスの解き方|平行弦トラスを断面法・節点法で図解解説
トラス問題は一級建築士の構造力学で毎年出題される分野です。
試験で出るのはほぼ平行弦トラス。解法は**断面法(リッター法)**が最重要で、節点法と組み合わせると効率的に解けます。
この記事では試験頻出の平行弦トラスを題材に、解法の手順を図解で整理します。
トラスとは
トラスは直線部材をピン(ヒンジ)で結合した構造です。
トラスの3つの前提条件
① 部材の両端はピン(ヒンジ)結合
→ モーメントは伝わらない
② 荷重は節点にのみ作用する
③ 各部材には「軸力 N のみ」が生じる
(Q = 0、M = 0)
この前提があるため、断面全体ではなく軸力だけで計算できます。
静定判別式
【静定判別式】
m + r = 2k
m:部材数
r:反力の数(ピン支点=2、ローラー支点=1)
k:節点数
m + r = 2k → 静定(解ける)
m + r > 2k → 不静定(超過拘束)
m + r < 2k → 不安定(構造不成立)
例題:平行弦トラスを断面法で解く
問題の設定
一級建築士の試験で典型的な4パネル平行弦トラスです。
【例題の条件】
・4パネル平行弦トラス(スパン L、高さ h)
・各パネル幅 d = L/4
・斜材の傾き角 θ(tan θ = h/d)
・上弦中央節点 U2 に集中荷重 P(下向き)
・支点:L0 = ピン、L4 = ローラー
静定判別:
部材数 m = 17(上弦4、下弦4、垂直材5、斜材4)
反力 r = 3(ピン2、ローラー1)
節点数 k = 10
→ m + r = 17 + 3 = 20 = 2k = 2×10 ✓(静定)
ステップ1:反力を求める
【反力の計算】
荷重 P が中央(U2)に作用 → 対称なので:
B点まわりのモーメント:
ΣMB = 0
RA × L − P × (L/2) = 0
RA = P/2
鉛直方向の釣り合い:
RA + RB = P
RB = P/2
水平方向の釣り合い:
ΣH = 0 → RAH = 0(水平荷重なし)
ステップ2:断面法(リッター法)で部材力を求める
断面法のポイント:「求めたい部材を通る面で切り、片側だけで釣り合いを取る」
【断面法の計算】
切断面 α-α の左側に注目(RA = P/2 のみ)
─────────────────────────────
■ 下弦材 N₃ を求める(最重要)
N₁ と N₂ の交点=U1 節点まわりのモーメント
ΣM(U1)= 0 :
RA × d − N₃ × h = 0
(P/2) × d − N₃ × h = 0
∴ N₃ = Pd/(2h) → 引張(正)
─────────────────────────────
■ 上弦材 N₁ を求める
N₂ と N₃ の交点=L1 節点まわりのモーメント
ΣM(L1)= 0 :
RA × d + N₁ × h = 0
(P/2) × d + N₁ × h = 0
∴ N₁ = −Pd/(2h) → 圧縮(負)
─────────────────────────────
■ 斜材 N₂ を求める
ΣV(鉛直方向の釣り合い)= 0 :
RA + N₂ × sinθ = 0
P/2 + N₂ × sinθ = 0
∴ N₂ = −P/(2sinθ) → 圧縮(負)
※ θ は斜材の傾き角(tan θ = h/d)
断面法のコツ:「消したい力の交点でモーメント」
「求めたい部材以外の2本が交わる節点」でモーメントを取れば、未知数が1つだけ残ります。これが断面法の核心です。
節点法の使い方
断面法では解きにくい支点付近の垂直材・最端部材に節点法を使います。
節点法の手順
【節点法の手順】
STEP 1:静定判別(m + r = 2k を確認)
STEP 2:支点反力を求める(ΣM=0, ΣV=0)
STEP 3:ゼロ部材を先に見つける(後述)
STEP 4:未知数が2つ以下の節点から解く
→ 支点節点(A または B)から始めるのが基本
STEP 5:各節点で ΣX=0, ΣY=0 を立てる
→ 斜め部材は sinθ・cosθ で分解
STEP 6:解いた値を使って次の節点へ
STEP 7:最後の節点で検算
節点Aの例
【節点A の計算例(垂直材・斜材を求める)】
ΣV = 0 :
RA + N_v + N_d × sinθ = 0
この節点に荷重なし・N_v は上弦端部材
ΣH = 0 :
N_L01 + N_d × cosθ = 0
→ 2式、2未知数で解ける
ゼロ部材の見つけ方
計算前にゼロ部材を見つけると大幅に手間が省けます。
【ゼロ部材の2パターン】
パターン①:T字型節点(荷重なし)
├─ 2部材が一直線に並ぶ
└─ 直交する1部材 → N = 0
パターン②:2部材節点(荷重なし)
├─ 節点に2本のみ集まる
├─ 2本が一直線でない
└─ 両方とも N = 0
★ 試験では問題図を見てすぐゼロ部材を印をつける
試験頻出パターン
① 平行弦トラスの部材力の傾向
【部材力の傾向(上向き荷重時)】
上弦材 → 圧縮(C)が基本
下弦材 → 引張(T)が基本
垂直材 → 荷重直下は圧縮、その他は条件次第
斜材 → 支点側は圧縮、中央側は引張になる傾向
★ 断面法で N₃(下弦)が正=引張になることを確認
② 断面法を使うべき場面
【断面法が有効なケース】
✅ 特定の1部材だけ求めればよいとき
✅ 節点法では遠くまで順番に解かないと
たどり着けないとき
✅ 平行弦トラスで上弦・下弦・斜材を
同時に求めたいとき
→ 断面法 → 節点法の順で解くのが試験最速
③ 斜材の角度と分力
【頻出角度の sin・cos】
45° → sin = cos = 1/√2(≒ 0.707)
斜材が水平・垂直と等しい傾きのとき
tan θ = h/d(高さ ÷ パネル幅)
→ 45°の場合 h = d(正方形パネル)
試験では数値が与えられることが多い
解法の選択フロー
【問題を見たときの判断フロー】
まずゼロ部材を探す
↓
反力を求める(ΣM=0, ΣV=0)
↓
求めたい部材は?
├─ 特定の1本だけ → 断面法(リッター法)
│ └─ 切断 → 片側だけ取り出す
│ └─ 他2本の交点でΣM=0
│
└─ 全部材を順番に → 節点法
└─ 未知数2つ以下の節点から
まとめ
【トラス問題 解法まとめ】
基本事項
├─ 静定判別:m + r = 2k
├─ 各部材には軸力 N のみ(Q=0, M=0)
└─ 引張(T)=正(+)、圧縮(C)=負(−)
断面法(リッター法)← 試験の主役
├─ 切断面を設けて片側だけ取り出す
├─ 求めたい部材以外の2本の交点で ΣM=0
└─ 斜材は ΣV=0 で求めると速い
節点法
├─ 支点節点から ΣX=0, ΣY=0 で解く
└─ 節点ごとに未知数2つ以下
ゼロ部材(先に見つける)
├─ T字型(荷重なし)→ 直交部材=0
└─ 2部材節点(荷重なし)→ 両方=0
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