一級建築士【法規】防火・耐火・防火区画を攻略|防火地域の規模規制・延焼ライン・面積区画
法規シリーズ、今回は防火・耐火・防火区画です。
防火関係は「地域による規制(防火地域・準防火地域)」「用途による規制(27条の特殊建築物)」「建物内部の区画(防火区画)」の3本柱。それぞれ別の条文で、対象も数字も違います。混ぜずに整理するのが攻略の第一歩です。2019年(令和元年)改正で性能規定化された点も押さえます。
⚠️ 内容は建築基準法・施行令等に基づく一般的な解説です。条文番号・数値は学習用の代表値で、受験・実務では最新の法令集で確認してください。
1. 防火地域・準防火地域——規模で耐火性能が決まる
都市の中心部や幹線道路沿いなど、火災を広げたくない区域が防火地域・準防火地域。建物の階数と延べ面積で、求められる耐火性能が決まります。
| 地域 | 規模 | 求められる建築物 |
|---|---|---|
| 防火地域 | 3階以上 または 延べ100m²超 | 耐火建築物等 |
| 〃 | 2階以下 かつ 100m²以下 | 耐火 または 準耐火建築物等 |
| 準防火地域 | 4階以上 または 延べ1500m²超 | 耐火建築物等 |
| 〃 | 地上3階 または 延べ500〜1500m² | 準耐火建築物等以上 |
| 〃 | 2階以下 かつ 500m²以下 | 木造でも外壁・軒裏の延焼のおそれ部分を防火構造等にすれば可 |
ポイントは防火地域には“制限なし”の枠がないこと。どんなに小さくても最低「準耐火建築物等」が必要です。準防火地域は規模で段階的に緩くなります。
⚠️ 2019年改正:延焼防止建築物
2019年の改正で、これらは**「耐火建築物等」「準耐火建築物等」という性能ベースの表現になりました。耐火建築物そのものでなくても、同等以上の延焼防止性能を持つ建築物(延焼防止建築物・準延焼防止建築物)でもよい、という選択肢が加わっています。前に学んだ建蔽率+10%緩和**は、この延焼防止性能とセットの改正です。
2. 法22条区域と、屋根・外壁
防火地域・準防火地域以外でも、特定行政庁が指定する区域があります。
法22条区域:特定行政庁が指定する区域で、建築物の屋根を不燃材料等とし、木造等の外壁で延焼のおそれのある部分を準防火性能にする必要がある。
防火地域>準防火地域>法22条区域、の順で緩くなる「3段階」と覚えます。なお防火地域・準防火地域内の建築物は、屋根を不燃材料等とし(法62条)、外壁が耐火構造ならその外壁を隣地境界線に接して設けることができます(法63条)。
3. 例外の例外——地域がまたがるとき
敷地ではなく建築物が、防火地域と準防火地域などにまたがる場合の処理です。
建築物が防火地域・準防火地域・指定なしの区域にわたる場合、原則として最も厳しい地域の規定を建築物全部に適用する(法65条等)。
ただし、建築物が防火壁で区画されている場合は、その区画ごとに各地域の規定を適用できます。「またがったら全部、厳しいほう」が原則、「防火壁で切れば別々」が例外、と覚えます。前に学んだ**建蔽率の緩和も“全部を防火地域とみなす”**処理でしたが、こちらは規制(耐火性能)の話。方向は同じ「厳しいほうに寄せる」です。
4. 法27条——用途で耐火が要る「特殊建築物」
地域とは別に、用途と規模で耐火性能が求められるのが法27条。別表第1の特殊建築物が対象です。
| 用途の例 | 趣旨 |
|---|---|
| 劇場・映画館・観覧場 | 多数が集まり避難が難しい |
| 病院・ホテル・共同住宅・児童福祉施設等 | 就寝を伴い避難が遅れる |
| 学校・体育館 | 多数の利用 |
| 百貨店・マーケット・飲食店 | 不特定多数が出入り |
これらは、階数・床面積が一定以上になると、耐火建築物等または準耐火建築物等としなければならない(法27条)。
2019年改正で、ここも性能規定化され、特定避難時間、火災が終了するまで倒壊・延焼しない建築物でもよい、という考え方になりました。「地域の規制(61条)とは別に、用途の規制(27条)がある」——両方を独立にチェックするのが頻出ポイントです。
5. 延焼のおそれのある部分——「1階3m・2階以上5m」
防火の話で繰り返し出るのが延焼のおそれのある部分。隣の火災が燃え移りやすい範囲のことです。
延焼のおそれのある部分=隣地境界線・道路中心線・同一敷地内の2以上の建築物の外壁間中心線から、1階は3m以下、2階以上は5m以下の距離にある建築物の部分。
上階ほど火が回りやすいので、2階以上は5mと範囲が広い。「1階3m・2階以上5m」はそのまま頻出数字です。ただし、防火上有効な公園・広場・川等に面する部分や、隣棟との関係で一定の条件を満たす部分は除かれます。
6. 防火区画(令112条)——建物内部を仕切る
ここからは建物の内部を区画して延焼を抑える防火区画。4種類あります。
| 区画 | 内容 |
|---|---|
| 面積区画 | 耐火・準耐火建築物等で、床面積1500m²を超えるものは1500m²以内ごとに区画。建物の耐火性能により1000m²・500m²の区画もある |
| 高層区画 | 11階以上の部分は100m²以内ごと(内装・防火設備の仕様で200m²・500m²に緩和) |
| 竪穴区画 | 主要構造部を準耐火構造等とし、地階または3階以上に居室がある建築物の、階段・EV昇降路・吹抜け等の縦方向の空間を区画 |
| 異種用途区画 | 法27条に該当する用途部分と、その他の部分を区画 |
⚠️ スプリンクラーで面積区画は「2倍」
面積区画では、スプリンクラー等の自動消火設備を設けた部分は、その床面積の1/2を区画面積に算入しない。結果として区画面積が実質2倍(1500m²→3000m²)になる。
「自動消火設備があれば、より広く一区画にできる」。1500m²がスプリンクラーで3000m²になる、が頻出計算です。なぜ竪穴を区画するかといえば、階段・吹抜けは煙突のように火と煙を上階へ運ぶから。理由とセットで覚えます。
○×で総チェック
Q1. 防火地域内では、延べ面積50m²・平屋の小規模な建築物であれば、防火・耐火の制限を受けない。
→ ×。防火地域には“制限なし”の枠がない。小規模でも最低、準耐火建築物等が必要。
Q2. 準防火地域内で、地上4階建ての建築物は準耐火建築物とすればよい。
→ ×。準防火地域で4階以上 または 延べ1500m²超は耐火建築物等が必要。
Q3. 法27条の規制(用途による耐火)は、防火地域・準防火地域の規制とは別に適用される。
→ ○。地域の規制(61条)と用途の規制(27条)は独立。両方を確認する。
Q4. 延焼のおそれのある部分は、隣地境界線等から1階で5m、2階以上で3m以内の部分である。
→ ×。1階は3m、2階以上は5m。上階ほど範囲が広い。
Q5. 建築物が防火地域と準防火地域にまたがる場合、原則として準防火地域の規定を全体に適用する。
→ ×。原則は最も厳しい地域(防火地域)の規定を全体に適用。防火壁で区画すれば別々にできる。
Q6. 面積区画にスプリンクラー設備を設けても、区画すべき床面積は変わらない。
→ ×。自動消火設備部分は床面積の1/2を不算入とし、実質2倍(1500→3000m²)に区画できる。
Q7. 竪穴区画は、階段・エレベーター昇降路・吹抜け等の縦方向の空間を対象とする。
→ ○。火と煙が上階へ回るのを防ぐための区画。
まとめ——防火は「地域・用途・区画」を分けて押さえる
- 防火地域:3階以上 or 100m²超で耐火建築物等。小規模でも最低準耐火(制限なしの枠がない)
- 準防火地域:4階以上 or 1500m²超で耐火、3階 or 500〜1500m²で準耐火以上
- 2019年改正:耐火建築物“等”=延焼防止建築物でも可。建蔽率+10%とセット
- 法22条区域:屋根不燃+外壁の延焼部分を準防火(一番ゆるい段階)
- 法27条:地域とは別に、用途で耐火が要る特殊建築物
- 延焼のおそれのある部分:1階3m・2階以上5m
- 防火区画:面積1500m²(SPで3000m²)・高層11階100m²・竪穴・異種用途
- またがり:原則最も厳しい地域で全体、防火壁で区画すれば別々
防火は条文が分散していて混乱しがちですが、「地域で課す(61・62・22条)/用途で課す(27条)/内部を仕切る(112条)」の3系統に分けると一気に見通せます。次回は避難規定で、シリーズを締めます。
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