← 記事一覧へ
一級建築士計画寸法モデュールバリアフリー2026年

一級建築士【計画】寸法・モデュール・バリアフリーを攻略|モデュロール・階段寸法・車椅子150cm

計画シリーズ第6弾は、各種建築すべての土台になる**寸法計画(人体寸法・モデュール・バリアフリー寸法)**です。

寸法は丸暗記になりがちですが、「人体・動作に基づく代表値」として理由ごと押さえると忘れにくくなります。とくに車椅子まわりの寸法は頻出です。

⚠️ 内容は建築計画の一般的な解説です。寸法は学習用の代表値で、用途・基準により変わります(建築基準法・バリアフリー法等)。受験・実務では最新の法令・資料で確認してください。


1. モデュールとモデュラーコーディネーション

寸法を一定の基準(モデュール)の倍数でそろえる考え方が**モデュラーコーディネーション(MC)**です。

用語内容
基本モデュール(1M)100mm(10cm)。これを基準寸法とする(ISO/JIS)
モデュラーコーディネーション部材・空間の寸法をモデュールの倍数に統一。生産性・互換性・施工性が向上する
尺モジュール日本の伝統寸法。1間=約1,820mm/半間=910mmのグリッドが基本
メーターモジュール1m(1,000mm)を基準とするグリッド。廊下・開口を広く取りやすい

ポイント:MCの目的は**「寸法をそろえて、つくりやすく・取り替えやすくする」**こと。910グリッドは在来木造、メーターモジュールはバリアフリーで有利。


2. モデュロールとヒューマンスケール

用語内容
モデュロールル・コルビュジエが提案。人体寸法と黄金比に基づく寸法体系。機能性と美しさの両立をねらう
ヒューマンスケール人体・動作を基準にした、人に心地よい寸法感覚

「モデュロール=コルビュジエ=人体寸法+黄金比」はそのまま問われます。


3. 各部の基準寸法(代表値)

人体・動作に基づく代表的な寸法です。

部位代表値備考
居室の天井高2.1m以上建築基準法(令21条)
住宅の階段蹴上23cm以下・踏面15cm以上用途で基準が異なる(学校・劇場はゆるやか)
手すりの高さ床から約75〜85cm(代表値)使いやすい高さ
墜落防止の手すり(バルコニー等)1.1m以上建築基準法(令126条)
机(事務・作業)の高さ約70cm前後椅子座面は約40cm前後
駐車場(一般車1台)2.5m×5.0m車椅子使用者用は幅3.5m程度

階段は**「上りやすさ=蹴上が低く踏面が広い」**ほど安全。学校・劇場など多人数が使う用途は、住宅よりゆるやかな勾配が求められる。

階段の用途別寸法(建築基準法・頻出)

用途で蹴上・踏面・幅の最低基準が変わります。子ども・多人数ほどゆるやかに覚えます。

用途蹴上踏面階段幅
小学校(児童用)16cm以下26cm以上140cm以上
中学・高校/物販1,500㎡超/劇場・映画館等の客用18cm以下26cm以上140cm以上
住宅23cm以下15cm以上75cm以上
上記以外(一般)22cm以下21cm以上

暗記の軸:小学校が最もゆるい(蹴上16・踏面26・幅140)、住宅が最も急(蹴上23・踏面15)。「子ども・大人数=ゆるく広く」。高さ1mを超える階段には手すりが必要


4. バリアフリー・ユニバーサルの寸法(最重要)

車椅子使用者の動作に基づく寸法は頻出です。

車椅子の基本寸法(代表値) 回転 回転直径 150cm 120cm〜 廊下幅(車椅子) 勾配 1/12 以下 スロープ
項目代表値趣旨
車椅子の回転直径150cm(直径150の円が描ける)その場で方向転換できる
車椅子使用者用の廊下幅120cm以上(すれ違いは180cm通行・すれ違いの確保
車椅子使用者用の出入口幅80cm以上通過できる有効幅
スロープ勾配1/12以下(屋外は1/15以下が望ましい)自力での上り下りを可能に
車椅子使用者用駐車場の幅3.5m程度乗降スペースを確保

ユニバーサルデザイン(ロナルド・メイス提唱)は、年齢・能力によらず初めから誰もが使えるように設計する考え方で、7原則が知られます(バリアフリーが「障壁を後から除く」のに対し、UDは「初めから障壁をつくらない」)。

数値の核:回転150・廊下120(すれ違い180)・出入口80・スロープ1/12。「150・120・80・1/12」をセットで暗記。

ユニバーサルデザインの7原則

#原則
1公平な利用(誰でも同じように使える)
2利用の自由度(使い方を選べる)
3単純で直感的な利用
4分かりやすい情報(必要な情報がすぐ伝わる)
5失敗に対する寛容(ミスしても危険が少ない)
6少ない身体的負担で使える
7接近・利用に十分な大きさ・空間

視覚障害者への配慮(サイン・誘導)

項目内容
点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)線状=誘導(進む方向)/点状=警告(段差・分岐・ホーム端)
色のコントラスト段鼻・建具などは明度差をつけ、弱視でも認識しやすく
音・触知サイン音声案内、手すりの点字、触知図

ひっかけ:点字ブロックは**「線=誘導/点=警告(止まれ)」**。階段やホーム縁などの危険箇所は点状ブロック。


5. ○×でチェック

  1. モデュラーコーディネーションの基本モデュール(1M)は100mm(10cm)である。
  2. モデュロールは、ミース・ファン・デル・ローエが人体寸法と黄金比に基づいて提案した寸法体系である。
  3. 車椅子が円滑に方向転換するためには、直径150cmの円が描ける空間が必要である。
  4. 車椅子使用者が利用するスロープの勾配は、1/8以下とすればよい。
  5. ユニバーサルデザインは、障壁を後から取り除くのではなく、初めから誰もが使えるように設計する考え方である。
  6. 小学校の児童用階段は、住宅用の階段よりも蹴上を低く、踏面を広くとる必要がある。
  7. 点字ブロックのうち、点状ブロックは進行方向を示す誘導用、線状ブロックは危険箇所を示す警告用である。

答え

  1. :基本モデュール1M=100mm。
  2. ×:モデュロールはル・コルビュジエ。ミースではない。
  3. :回転直径150cm。
  4. ×:スロープは1/12以下(屋外は1/15以下が望ましい)。1/8では急すぎる。
  5. :UDの考え方。バリアフリー(事後の障壁除去)と対比。
  6. :小学校=蹴上16・踏面26と最もゆるい。住宅=蹴上23・踏面15と急。
  7. ×:逆。線状=誘導/点状=警告。危険箇所は点状。

まとめ

テーマ押さえどころ
モデュール基本モデュール1M=10cm/MCで生産性・互換性向上/尺910・メーターモジュール
モデュロールル・コルビュジエ=人体寸法+黄金比
各部寸法天井高2.1m/住宅階段(蹴上23・踏面15)⇔小学校(蹴上16・踏面26・幅140)/墜落防止手すり1.1m
バリアフリー回転150・廊下120(すれ違い180)・出入口80・スロープ1/12/UD=初めから誰もが使える(メイス・7原則)/点字ブロック線=誘導・点=警告

次回は計画の続きとして、都市計画・住宅地計画または建築史に進みます。寸法は「人体・動作に基づく代表値」として理由ごと押さえるのが、忘れない近道です。