← 記事一覧へ
一級建築士計画住宅集合住宅住棟形式メゾネット2026年

一級建築士【計画】住宅・集合住宅の計画を攻略|食寝分離・住棟形式・メゾネット・SI

計画シリーズの第1弾は、出題の核となる住宅・集合住宅の計画です。

住宅・集合住宅は、用語の意味と各方式の長所・短所の対比がそのまま問われます。「中廊下型はなぜ採光・通風で不利か」「メゾネット型のメリットは何か」——理由(趣旨)まで押さえると、似た用語のひっかけに強くなります。今回は住宅計画の基本理念から住棟アクセス形式、住戸断面形式、集合住宅の各種方式、SI(スケルトン・インフィル)まで一気に整理します。

⚠️ 内容は建築計画の一般的な解説です。寸法・年代は学習用の代表値で、細かい条件や例外があります。受験・実務では最新の資料で確認してください。


1. 住宅計画の基本理念(食寝分離・就寝分離・公私室分離)

戦後の住宅計画の出発点が、生活の質を高めるための「分離」の考え方です。**西山夘三(にしやま うぞう)**の住生活調査がもとになっています。

理念内容ねらい
食寝分離(しょくしんぶんり)食事をする場所と寝る場所を分ける衛生・生活時間の独立
就寝分離親(夫婦)と子、子どうしの寝室を分けるプライバシー・教育上の配慮
公私室分離(こうししつぶんり)だんらん・接客の場(公室=LDK)と、寝室など私的な場(私室)を分ける来客動線と家族の生活動線を分ける

これらを具体化したのが、1951年の**公営住宅標準設計「51C型」です。吉武泰水(よしたけ やすみ)らの研究室が設計し、狭い面積(約40㎡前後)でも食寝分離・就寝分離を実現した2DKで、後のnLDK(n+LDK)**の原型になりました。

食寝分離・就寝分離=西山夘三/それを具体化した51C型=吉武泰水ら。この対応はそのまま問われます。

居住面積水準(数値が問われる)

住生活基本計画で定める、住宅面積の目安です。最低限と、豊かに暮らす誘導目標の2段階で覚えます。

水準内容(目安)
最低居住面積水準健康で文化的な生活に必要な最低限。単身25㎡、2人以上は10㎡×世帯人数+10㎡
誘導居住面積水準より豊かな住生活の目標。都市居住型(共同住宅)と一般型(戸建)で値が異なる

計算の軸:最低水準=「10㎡×人数+10㎡」(単身のみ25㎡)。誘導水準は「都市型」と「一般型」の2本立て、と押さえる。


2. 住棟アクセス形式(最重要の比較)

住戸へどう到達するか(共用部の取り方)による分類です。長所・短所が表裏一体なので、対比で覚えます。

住棟アクセス形式の模式(上から見た平面) 階段室型 階段が各住戸を分配 片廊下型 片側の廊下から各住戸へ 中廊下型 中央廊下の両側に住戸 階段室型=プライバシー・通風◎/中廊下型=効率◎だが採光・通風△ 片廊下型=採光確保しやすくEV効率◎で中高層の主流 ※スキップフロア型・集中(コア)型は本文参照
形式特徴長所短所
階段室型(ホール型)階段室ごとに左右の住戸へ。EVなしの低・中層に多い各住戸のプライバシー・通風・採光が良い/共用部が少ない階段室ごとにEVが必要で高層化・EV効率が悪い
片廊下型片側に廊下、反対側に住戸。中高層の主流採光・通風を確保しやすい/EVを効率よく使える廊下側の居室はプライバシー・採光に配慮が必要
中廊下型中央の廊下の両側に住戸敷地利用効率(住戸密度)が高い住戸が振り分けられ日照が不均一廊下が暗く通風が悪い/プライバシー△
集中型(コア型)中央コア(EV・階段・設備)の周囲に住戸を配置超高層・狭小敷地に適しEV効率が最良方位により採光・通風に差が出る
スキップフロア型共用廊下を数階おきに設ける廊下のない階は通風・プライバシーが良い/共用廊下面積を減らせる廊下のない階は階段移動となり高齢者・バリアフリーに不利/避難計画に注意
ツインコリダー型2列の廊下の間に吹抜けを設ける中廊下型の採光・通風の弱点を改善構成が複雑
リビングアクセス型居間(リビング)側を共用廊下に向ける廊下と住戸の生活が交わりコミュニティが生まれやすい居間のプライバシー確保に配慮が必要

暗記の軸:「効率(住戸密度)を上げる形式ほど、採光・通風・プライバシーが犠牲になりやすい」。中廊下型・集中型は効率型、階段室型は居住性型。

住棟の配置形式

複数の住棟を敷地にどう並べるか、も問われます。

配置特徴
平行(並行)配置同方向に平行に並べる。日照は揃うが単調になりやすい
雁行(がんこう)配置ジグザグにずらして配置。各戸の眺望・プライバシー・採光を得やすい
囲み型(中庭型)配置住棟で中庭を囲む。コミュニティ空間ができるが、向きにより日照差
ポイント(点)配置塔状住棟を点在。開放感・通風を得やすい

3. 住戸断面形式(フラット型とメゾネット型)

1住戸が何層を占めるかの違いです。

形式内容長所短所
フラット型1住戸が1層で完結平面計画が単純/小住戸・バリアフリーに有利上下階のプライバシー分離はしにくい
メゾネット型1住戸が2層(住戸内に専用階段)共用廊下を1層おきにでき廊下面積減・プライバシー向上/上下で居間と寝室を分離でき戸建感覚住戸内階段で面積ロス小住戸に不向き/高齢者には階段が負担
トリプレット型1住戸が3層メゾネットの利点を強化さらに小住戸に不向き

メゾネット型の最大の利点は、共用廊下を1層おきにできること。これにより廊下面積が減り、廊下に面さない階の住戸はプライバシー・通風が良くなります。


4. 集合住宅のさまざまな方式

接地のしかたや、居住者の関わり方による分類です。用語の定義がそのまま問われます。

用語定義
テラスハウス各戸が専用の庭を持つ接地型(低層)の連続住宅。戸境壁を共有する
タウンハウステラスハウスに、**共用の屋外空間(コモンスペース/コモンガーデン)**を加えた形式。土地を共有する
コートハウス各戸が**中庭(コート)**を囲んで配置される住宅。プライバシーと採光を両立
コレクティブハウス各住戸は独立しつつ、共用のキッチン・食堂・居間などを持ち、家事・育児・食事を居住者が協同して行う
コーポラティブハウス入居希望者が組合をつくり、企画・設計の段階から参加して建設する方式。要望を反映しやすい

ひっかけ注意:テラスハウス=専用庭/タウンハウス=+共用地(コモン)。「協同で暮らす」のがコレクティブ、「協同で建てる」のがコーポラティブ。語感が似ているので定義で区別します。

代表的な集合住宅の事例

事例名と特徴の対応も出題されます。

事例ポイント
同潤会アパート関東大震災後の日本初期の鉄筋コンクリート集合住宅(現存せず)
ユニテ・ダビタシオンル・コルビュジエ。メゾネット+内部商店街を持つ大型集合住宅
代官山ヒルサイドテラス槇文彦。長期にわたり段階的に整備された低層の街並み
NEXT21**SI(スケルトン・インフィル)**と環境共生を実験した実証集合住宅

「日本初期のRC集合住宅=同潤会アパート」「メゾネット+商店街の大型住棟=コルビュジエのユニテ」は対応で覚える。


5. スケルトン・インフィル(SI)と可変性

長寿命化と、ライフスタイルの変化への対応の考え方です。

用語内容
スケルトン・インフィル(SI)建物を**スケルトン(躯体・共用設備=長寿命で固定)インフィル(内装・住戸内設備=可変)**に分けて考える方式。インフィルだけを更新でき、長寿命化・可変性に有利
フレキシビリティ間取り変更などに柔軟に対応できる性質。可動間仕切り・大スパン化で確保
フリーアクセスフロア(二重床)床を二重にして配管・配線を通す。設備更新やレイアウト変更が容易

SIの考え方は「変わらないもの(スケルトン)と変わるもの(インフィル)を分ける」。これにより躯体を長く使いつつ、住戸内は世帯の変化に合わせて更新できます。


6. ○×でチェック

  1. 中廊下型は、敷地利用効率が高い反面、住戸の採光・通風やプライバシーで不利になりやすい。
  2. 階段室型は、EVを効率よく配置できるため高層住宅に最も適している。
  3. メゾネット型は、共用廊下を1層おきにできるため廊下面積を減らせる。
  4. スキップフロア型は、すべての階に共用廊下が面するためバリアフリーに優れる。
  5. テラスハウスは共用の屋外空間(コモン)を持つ点でタウンハウスと区別される。
  6. コーポラティブハウスは、入居希望者が組合をつくり企画・設計段階から参加して建設する方式である。
  7. 最低居住面積水準は、2人以上の世帯では「10㎡×世帯人数+10㎡」を目安とする。
  8. 雁行配置は住棟をジグザグにずらすことで、各戸の眺望やプライバシー、採光を得やすい。

答え

  1. :効率型の典型。採光・通風・プライバシーは犠牲になりやすい。
  2. ×:階段室型は各階段室にEVが必要で高層化・EV効率が悪い。高層の主流は片廊下型・集中型。
  3. :メゾネット型の最大の利点。
  4. ×:逆。共用廊下は数階おきで、廊下のない階は階段移動となりバリアフリーに不利
  5. ×:説明が逆。共用の屋外空間を持つのはタウンハウス。テラスハウスは各戸の専用庭が特徴。
  6. :「協同で建てる」のがコーポラティブハウス。
  7. :最低居住面積水準の計算式(単身は25㎡)。
  8. :雁行配置の利点。平行配置は単調になりやすい。

まとめ

テーマ押さえどころ
基本理念食寝分離・就寝分離=西山夘三/具体化した51C型=吉武泰水ら・nLDKの原型/最低居住面積水準=10㎡×人数+10㎡(単身25㎡)
住棟アクセス効率(中廊下・集中)⇔居住性(階段室)のトレードオフ/片廊下型が中高層の主流/リビングアクセス型はコミュニティ重視
住棟配置平行(単調)/雁行(眺望・採光◎)/囲み型(中庭・コミュニティ)/ポイント型(開放感)
断面形式メゾネット=共用廊下が1層おきで廊下減・プライバシー向上、ただし小住戸・高齢者に不向き
集合住宅の方式テラス(専用庭)/タウン(+コモン)/コレクティブ(協同で住む)/コーポラティブ(協同で建てる)
SIスケルトン(固定・長寿命)とインフィル(可変)を分離

次回は計画分野の続き(事務所・商業建築、または各種建築の計画)に進みます。用語は「定義」と「長所・短所の理由」をセットで押さえるのが得点の近道です。