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一級建築士計画病院医療施設各種建築2026年

一級建築士【計画】病院・医療施設を攻略|部門構成・看護単位・手術部の清潔不潔分離

計画シリーズ第3弾は、各種建築のなかでも複雑で頻出の**医療施設(病院)**です。

病院は部門が多く動線も複雑ですが、問われるポイントは決まっています。部門ごとの配置(ゾーニング)・看護単位・清潔/不潔の動線分離です。「なぜそこに配置するのか(理由)」で押さえれば、丸暗記せずに解けます。

⚠️ 内容は建築計画の一般的な解説です。床面積・幅員などの数値は学習用の代表値で、医療法等の改正や条件で変わります。受験・実務では最新の法令・資料で確認してください。


1. 病院の部門構成とゾーニング(最重要)

病院は大きく5部門に分けて考えます。外来は下層・病棟は上層・中央診療はその中間が基本です。

部門内容配置の考え方
外来部門受付・診察・救急1階(地上階)・出入口近く。不特定多数が出入りするため分かりやすく
中央診療部門手術・検査・放射線・分娩・薬剤・リハビリ外来と病棟の中間。両方から使うため動線の要
病棟部門病室・ナースステーション上層階。静かで、外来の喧騒から離す
供給部門中央材料室・給食・洗濯・設備裏動線でまとめる
管理部門事務・医局利用しやすい位置
断面方向のゾーニング(下=外来/上=病棟) 病棟部門(静か・上層) 病棟部門 中央診療部門(外来と病棟の中間) 外来部門・救急(1階・出入口近く) 外来は下・病棟は上、中央診療がつなぐ。供給・管理は裏動線でまとめる

暗記の軸:外来(下)⇔病棟(上)を中央診療がつなぐ。中央診療部門を中間に置くのは、外来患者・入院患者双方から使うから。


2. 病棟計画(看護単位・ナースステーション)

病棟は**看護単位(ナーシングユニット)**を基本にまとめます。

用語内容
看護単位1組の看護スタッフが受け持つ病床のまとまり。1看護単位あたり約40〜50床が代表値
ナースステーション看護の拠点。各病室への動線が短く・見通しが利く位置(病棟の中央など)に置く
病室の床面積一般病床は1床あたり約6.4㎡以上(新築の代表値)。患者の療養環境を確保
廊下幅患者が使う廊下は搬送のため広く(片側居室で約1.8m以上、両側居室で約2.7m以上が代表値)

ポイントは**「看護動線を短く」**。ナースステーションから病室が見渡せ、移動が少ない配置が良い。看護単位を大きくしすぎると目が届かなくなる。

病床(病室)の種類と個室・多床室

病床の種類特徴
一般病床急性期の一般患者。1床約6.4㎡以上
療養病床長期療養向け。1床面積も廊下幅も一般病床より広く(両側居室で約2.7m以上)、ゆったり
感染症病床・結核病床隔離が必要。**陰圧(負圧)**で病原体を外へ漏らさない
精神病床安全・療養に配慮した計画
病室形式長所短所
個室プライバシー・感染管理に有利面積・コスト増、看護の目が届きにくい
多床室(総室)効率的・見守りやすいプライバシー・感染面で配慮が必要

ひっかけ:療養病床は一般病床より廊下幅・面積が広い(長期療養のため)。感染症病床は陰圧、手術室は正圧——「漏らさない=陰圧/入れない=正圧」で区別。


3. 中央診療部門(手術部の清潔・不潔分離)

中央診療部門で最も問われるのが**手術部(中央手術部)**です。清潔区域と不潔区域の動線を分離します。

論点ポイント
清潔・不潔の動線分離術前の清潔な人・器材と、術後の汚染された物の動線を交差させない
清浄度の管理手術室はバイオクリーン(高度な空気清浄)。室内を正圧にして外部の汚れた空気の侵入を防ぐ
ICU(集中治療室)重症患者を集中管理。ナース動線・設備を集約
中央材料室(供給)器材の洗浄・滅菌を集約し、清潔なものを各部へ供給
バイオクリーンルーム整形外科の人工関節手術など、特に高い清浄度が必要な手術室。清浄度クラスを上げ正圧・層流で塵埃を抑える
救急部門(ER)救急車・搬送に直結。外来下層・出入口近くでアクセス最優先

手術部のキーワードは**「清潔と不潔を分ける」「室内を正圧に保つ」。汚れを入れない・交差させないのが発想の中心。清浄度が最も高いのがバイオクリーンルーム**。


4. 病院運営の考え方(PPC・オープンシステム)

用語内容
PPC(プログレッシブ・ペイシェント・ケア)患者の症状の重さに応じて看護の密度(区域)を段階的に分ける考え方。重症はICU、回復期は一般病床へ
オープンシステム(開放型病院)地域の開業医が病院の設備・病床を利用して自分の患者を診療できる方式。地域医療資源を有効活用
クローズドシステムその病院の所属医師のみが診療する一般的な方式
動線分離患者・職員・面会者・物品(清潔/汚物)の動線を分け、感染と混雑を防ぐ

5. ○×でチェック

  1. 中央診療部門は、外来患者と入院患者の双方が利用するため、外来部門と病棟部門の中間に配置するのが一般的である。
  2. 病棟のナースステーションは、各病室からの動線が長くなっても見通しを優先して隅に配置するのがよい。
  3. 手術室は、外部の汚れた空気が入らないよう室内を負圧に保つのが原則である。
  4. PPCは、患者の症状の程度に応じて看護の密度を段階的に分ける考え方である。
  5. オープンシステム(開放型病院)は、地域の開業医が病院の設備を利用して診療できる方式である。
  6. 療養病床は、長期療養に配慮して一般病床より病室面積や廊下幅を広くとる。
  7. 感染症病床は、病原体を外部へ漏らさないよう室内を正圧に保つ。

答え

  1. :双方から使うため中間配置が基本。
  2. ×:ナースステーションは動線が短く見通しの利く中央付近が原則。動線を長くしてはいけない。
  3. ×:手術室は清潔を保つため正圧にする(汚れた空気を入れない)。負圧は感染症隔離室などの考え方。
  4. :PPCの定義。重症度に応じて区域分け。
  5. :開放型病院の定義。地域医療資源の有効活用。
  6. :療養病床は一般病床より広くゆったり。
  7. ×:感染症病床は**陰圧(負圧)**で漏らさない。正圧は手術室(入れない)。

まとめ

テーマ押さえどころ
ゾーニング外来(下層・出入口近く)⇔病棟(上層・静か)を中央診療(中間)がつなぐ
病棟看護単位40〜50床/ナースステーションは動線短く見通し良く/病室6.4㎡・廊下幅は搬送のため広く/療養病床は一般より広い
手術部・感染清潔・不潔の動線分離/手術室は正圧・バイオクリーン/感染症病床は陰圧(漏らさない)
運営PPC=重症度で区域分け/オープンシステム=開業医が設備利用/患者・職員・物品の動線分離

次回は計画の続きとして、**商業・業務施設(事務所・店舗)**に進みます。各種建築は「用途ごとに守るべき条件(理由)」で整理すると、似た用途のひっかけに強くなります。