一級建築士【構造】複合問題の考え方と解き方|4タイプ別攻略法
一級建築士の構造力学では、たわみ・断面力・仮想仕事など複数の知識を組み合わせる問題が毎年出題されます。
「どの手法を使えばいいかわからない」という状態を解消するために、この記事では複合問題を4タイプに分類して解き方の判断基準を整理します。
複合問題の4タイプ
| タイプ | 問題の特徴 | 使う手法 |
|---|---|---|
| ① | 荷重が2種類以上かかる | 重ね合わせの原理 |
| ② | 支点が余剰な不静定構造 | 適合条件法 |
| ③ | スパン・断面・材料が変わる、比較する | 比率計算 |
| ④ | 複雑な構造のたわみ・変位を求める | 仮想仕事法 |
解き方の判断フロー
問題文を読んだら、まず次のフローで「どのタイプか」を判断します。
タイプ①:重ね合わせの原理
集中荷重と等分布荷重など、複数の荷重が同時に作用する問題です。
各荷重が単独で作用したときのたわみを個別に計算して、足し合わせるだけで求められます。
ポイント: どんなに荷重が複雑でも、1種類ずつに分けて計算してから足すだけです。符号(上向き・下向き)に注意しましょう。
タイプ②:不静定梁の解法(適合条件法)
余剰支点がある不静定構造を、たわみ公式を使って解く手法です。
手順は「余剰支点を取り除いて静定化 → 未知反力を外力として載荷 → たわみゼロ条件(適合条件)で解く」の3ステップです。
ポイント: 余剰支点を「除去 → 変位ゼロ条件を立てる」の手順さえ覚えれば、あとはたわみ公式を代入するだけです。
タイプ③:条件比較・比率計算
スパンや断面・材料が変わったとき、たわみが何倍になるかを求める問題です。
公式 δ = PL³/48EI から「変わる部分だけ」を取り出して比を計算します。
ポイント: L は3乗(等分布荷重なら4乗)、E・I は分母なので大きくなるとδは小さくなります。比が変わる部分だけを抜き出して計算するのがコツです。
タイプ④:仮想仕事法の応用
複合荷重や複雑な形状の構造でたわみを求める際に使います。
手順のおさらい:
- 実荷重のM図を描く
- 求めたい点に単位荷重 P̄=1 を載せてM̄図を描く
- δ = ∫M̄·M/EI dx(積算)で求める
重ね合わせで解けない複雑な問題でも、M図さえ描ければ対応できます。詳しくは 仮想仕事の原理・単位荷重法の記事 を参照してください。
過去問に多いパターン
パターンA:「たわみが等しくなる条件」
単純梁と片持ち梁のたわみが等しくなるためのスパン比を求めよ。
→ タイプ③(比率)+タイプ①(場合によって重ね合わせ)
δ単純 = PL₁³/48EI、δ片持ち = PL₂³/3EI として、δ単純 = δ片持ちを解く。
L₁³/48 = L₂³/3 → L₁/L₂ = (16)^(1/3) ≈ 2.52
パターンB:「支点反力を求めよ(不静定梁)」
一端固定・一端ローラー支点の梁に等分布荷重が作用するときのローラー支点反力を求めよ。
→ タイプ②(適合条件法)
上記のSTEP1〜3で R = 3wL/8 が求まります。
パターンC:「断面を変えたらたわみは何倍か」
梁の幅bと高さhをともに2倍にしたとき、たわみは何倍になるか。
→ タイプ③(比率計算)
I = bh³/12 → 2b×(2h)³/12 = 16·bh³/12 = 16I → δ = 1/16倍
問題を解くときのチェックリスト
- 荷重を数える → 複数なら重ね合わせ(タイプ①)
- 支点の種類を確認 → 余剰支点があれば適合条件(タイプ②)
- 数値比較か? → スパン・断面・材料の変化なら比率計算(タイプ③)
- それ以外の変位問題 → 仮想仕事法(タイプ④)
- どのたわみ公式を使うか → 梁の種類(単純・片持ち)と荷重の種類(集中・等分布)を確認
まとめ
| タイプ | 見分けるポイント | 解き方 | 対応記事 |
|---|---|---|---|
| ① | 荷重が複数 | 各δを計算して足す | たわみ記事 |
| ② | 不静定構造(余剰支点) | 除去→適合条件→解く | 仮想仕事記事 |
| ③ | 条件変化・比較 | 変わる部分の比を計算 | たわみ記事 |
| ④ | 複雑な変位計算 | M図×M̄図の積算 | 仮想仕事記事 |
複合問題は「どのタイプか」を判断できれば、あとは公式を正しく使うだけです。
判断フローを身につけて、過去問で各タイプの解き方を繰り返し練習しましょう。