東京・大阪・名古屋、賃料格差の実態|三大都市でここまで違う家賃の理由
就職・転職で住む都市を選ぶとき、家賃は避けて通れないテーマだ。
「東京は家賃が高い」というのはよく聞く話。でも実際にどのくらい差があるのか、そしてなぜそこまで差が出るのか、数字で把握している人は意外と少ない。
今回は三大都市圏の賃料を比較しながら、その差が生まれる構造的な理由を整理してみた。
まず一人暮らし向け(ワンルーム)で比較してみる
社会人1年目や学生が最初に直面するのがワンルーム・1Kの家賃。ここが一番差を感じやすい。
| 都市 | ワンルーム・1K 平均家賃 | 東京との差 |
|---|---|---|
| 東京23区 | 約104,000円 | ― |
| 大阪市 | 約60,000円 | 約▲44,000円 |
| 名古屋市 | 約55,000円 | 約▲49,000円 |
※大阪市・名古屋市はSUUMO掲載物件の市全体平均(2026年4月)。東京23区はアットホームラボ調査(2025年)。
東京23区のワンルームは2025年についに月10万円の壁を突破した。一方、大阪・名古屋は5〜6万円台が中心。東京と名古屋では年間約60万円の差になる計算だ。
間取り別に全部比べると
ワンルームだけでなく、カップル・ファミリー向けも含めて比較してみよう。
| 間取り | 東京23区 | 大阪市 | 名古屋市 |
|---|---|---|---|
| ワンルーム・1K | 約104,000円 | 約60,000円 | 約55,000円 |
| 1LDK〜2DK(カップル向き) | 約171,000円 | 約111,000円 | 約91,000円 |
| 2LDK〜3DK(ファミリー向き) | 約249,000円 | 約163,000円 | 約130,000円 |
※東京23区はアットホームラボ調査(2025年)、大阪市・名古屋市はSUUMO掲載物件の平均(2026年4月)。
どの間取りでも東京は突出して高い。名古屋はファミリー向きでも東京の約半額という水準で、子育て世代にとってもコスパのよい都市といえる。
1畳あたりで比べると差はさらに鮮明
都心部(0〜10km圏)の1畳あたり賃料で比較すると:
東京は名古屋の2倍。同じ広さの部屋でも、1畳あたりの賃料負担がここまで違う。
なぜここまで差が生まれるのか
① 土地価格が根本的に違う
賃料の水準は、大きく「土地の仕入れコスト」に左右される。
国土交通省の地価公示(令和5年)によると:
- 東京23区:1㎡あたり平均約66万円
- 名古屋市:1㎡あたり平均約20万円
差は約46万円/㎡。土地コストが高ければ、その分が家賃に乗ってくる。
② 人口・需要の集中度が違う
東京都市圏の人口は約3,700万人。名古屋都市圏はその3分の1以下の約1,000万人。
需要が多ければ家賃は上がる。シンプルな原理だが、その差が積み重なって現在の賃料格差を生み出している。
③ 経済機能の一極集中
東京は日本のGDPの約3割を生み出す経済の中枢。本社機能・金融・ITが集中し、高収入の人口が多い。
「高い賃料でも払える人が多い」という需給構造が、賃料水準を押し上げている。
④ 名古屋は”住みやすさのコスパ”が高い
名古屋は東京・大阪ほど繁華街が密集していないため、都心部でも「ゆとりある住環境」が実現しやすい。また市内に川が多く、エリアによっては水害リスクが地価・賃料を抑える要因にもなっている。
最近の動向:大阪の上昇が急加速している
ここ1〜2年で注目すべきは、大阪の賃料上昇ペースが東京を上回り始めている点だ。
| 都市・間取り | 2025年賃料 | 前年比 |
|---|---|---|
| 東京23区(ワンルーム) | 約104,000円 | +10.6% |
| 東京23区(ファミリー) | 約249,000円 | +10.2% |
| 大阪市(ワンルーム・1K) | 約60,000円 | +14.2% |
| 大阪市(ファミリー) | 約163,000円 | +18.9% |
| 名古屋市(ファミリー) | — | +7.3% |
※上昇率はアットホームラボ調査(2025年)、賃料はSUUMO掲載物件の平均(2026年4月)。
大阪のシングル向き賃料が1年で14%超の上昇。じわじわと一人暮らし世代の家計にも影響が出てきている。
大阪が急上昇している背景
- 2025年大阪・関西万博による注目度・インバウンド需要の増加
- うめきた2期・なんば再開発など大型プロジェクトの進行
- 東京一極集中の緩和と関西への企業・人口回帰の動き
大阪の賃料は「東京より安い選択肢」として位置づけられてきたが、その差は着実に縮まっている。
まとめ|どの都市で暮らす?
| 東京23区 | 大阪市 | 名古屋市 | |
|---|---|---|---|
| ワンルーム・1K | 約104,000円 | 約60,000円 | 約55,000円 |
| カップル向き | 約171,000円 | 約111,000円 | 約91,000円 |
| ファミリー向き | 約249,000円 | 約163,000円 | 約130,000円 |
| 近年の上昇率 | +10.6% | +14〜18% | +7.3% |
一人暮らしなら名古屋・大阪と東京では年間50〜60万円の差になる。これは資格の勉強代や貯蓄に回せる金額だ。
もちろん「どこで働くか」が先にある話ではあるが、リモートワークが普及した今、住む都市の選択肢は以前より広がっている。
「東京は高すぎる、でも地方は不便」と感じている人にとって、名古屋は意外と狙い目かもしれない。そして大阪は今まさに上昇中なので、住むなら早めの判断が吉かもしれない 🐱
参考データ:
- アットホームラボ「全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向(2025年)」
- 旭化成ホームズ「2025年の家賃相場を振り返る」
- 東海創生コラム Vol.217「三大都市圏で光る名古屋都心部の3つのゆとり」
- 国土交通省「令和5年地価公示」
- ieagent「名古屋の家賃がなぜ安い?相場が低い理由や市内の平均賃料を不動産屋が解説」